1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:学び合いの場

「ソーシャル・ニーズと商品開発&CSR」メモ

8人と少人数でしたが、少人数の良さで話が深まりました。参加者に感謝。

【まつもとかつひで(日本オリエンテーション主宰)メモ】
1.今までの個人的ニーズに対して、つながりが重要な概念になってきていて、繋がり=社会ニーズ、が重要になってきている。→老人ホームの照明 お年寄りにも、介護する人にも役立つ照明。
2.社会、市場の成熟化により、モノ価値より精神価値が求められている。利己的ニーズから、利他的ニーズが高まっていることが社会ニーズの背景にあるのでは。
3.個人ニーズと社会ニーズのコンフリクトの要求をどう融合させていくかが重要。
→現在は、エコノミー&エコロジー、近い将来は、エコロジー&エコノミーに。
4.社会ニーズを考えていく企業がこれからのリーダー企業になるのでは。
私の知っている自動車メーカーが、限界集落地で合宿をして、限界集落の交通を考える。
5.昔トヨタ社長の渡辺さんによる「これからのクルマは走れば走るほど空気がきれいになるクルマにならなければ」も社会ニーズへの対応では。
6.参加企業の菓子メーカーの美味しいお菓子に対して、社会ニーズを捉えた菓子とは?化粧品の社会ニーズとは?食品メーカーの社会ニーズとは?住宅メーカーの社会ニーズとは?

【高橋正二郎メモ(日本オリエンテーションSDP研究所 客員主席研究員)】
●CSRは、一時代前のメセナとかフィランソロフィーと違って、会社全体の企業活動の一部として実行すべきもの。担当の部署だけの仕事ではない。
●企業のイメージアップを狙ったCSR活動が多いが、企業名が目立ち過ぎると逆効果のこともある。KFCは地元ケンタッキーのルイビルの道路補修に費用を寄付したが、アスファルトにKFCのロゴをペイントしたことへの評価は一通りではない。
●買い物難民とか買い物弱者という人たちも、さまざまな様態があり、それぞれの対応が必要。
・外出の大変なお年寄りへの宅配サービス
・焼き畑商売で買い物施設がなくなったところへのNPO出店
・買いやすい大きさの小分け包装(途上国では単価が下がることに意味がある)
・「買い物弱者用の軽自動車」が開発テーマに上がっている。
●例の大震災で、真っ先に退散したF社、最後まで頑張ったL社、地元での評価はやはり歴然と違うようだ。
●M・ポーターが唱えたCSVは売り手や買い手のお互いや周囲も含めて幸せになることだが、僅かにスターバックスなどが生産者の利益確保を唱えた活動などに例が見られるが、まだ理念には遠いところにある。
●企業がCSRに取り組む場合、詳細にわたり決めごとが必要になるが、日本にはその大原則を示す近江商人の家訓がある。CSRにはそのまま当てはまる。
・「買い手良し、売り手良し、世間良し」【三方良し】

【参加者のコメント】
<Aさん>
14日はたいへん楽しく、また私にとっても興味深い内容でした。
CSRが企業の「慈善事業」ではなく、本業の事業のなかでどのように実行され、またそこからも利益を生み出すことができるかが、継続される必要条件だと思いました。
大学院生がビジネスプランを作る授業を持っていますが、昨年から「地域の活性化」という考え方が強くなってきました。地方と首都圏の間にある格差も問題を、情報伝達の革新によって解消しようというビジネスプランが多くなりました。ITにより距離的問題が解消できれば、地方での活動はやりやすくなりますし、また地方からの発信がビジネスにもつながると思います。全国、世界を相手にしたビジネスを展開するうえで、住みやすい地方は有利かもしれません。

<Bさん>
当社の場合、企業の成り立ちそのものが地元スタンス、「消費者→商業者→工業(加工)→農業」、地場の消商工農の連結という考え方に立脚して経営し、140年という歴史とともに6次化や地産商品を商品の中心軸にしてきました。そういう意味では、小さいエリアですが、地元社会貢献そのもので成り立ってきた企業。改めてCSRという切り口から、自社を観た事が無かったので、今回、どんな企業の方が現実どんな考え方をしているのか非常に興味がありました。
皆さんのご意見、とても参考になりました。ありがとうございました。

<Cさん>
特に、横浜国大院生の「声」は、これからの「市場の声・考え方」として、大変参考になり、また刺激にもなりました。
また、社会がどんどん複雑化するにつけ、企業・個人ともに、「自分の軸」「拠り所=迷ったら戻るところ」が、ますます重要になることが実感できました。
以下、 気になるワードメモです。
・マーケットの捉え方は、
より「便利」→より「幸せ」へ(「幸せになれること」≒「心が豊かになること」)購買"指標"は、「便利」指数→「幸せ」指数へ
・これからの商品開発は、
どこまで「モノ」の本質に戻って考えられるか、が肝要。例:環境に優しいクルマが必要→クルマは必要なのか?
・しかし、現実的・短期的には「良い人価値」でモノは売れる?
・全て「良い人」では、世の中はつまらない。「悪い人価値」も共生が必要?
・AKBの握手会≒DVD購買という免罪符付きの風俗営業では?
短期では、時代の空気感の捉え方も重要。