配信日:2013年9月2日
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■■■ 官能開発のメールマガジン
■□■ ≪SDP*研究所メールマガジン≫
■□■ 発行者:日本オリエンテーション
■□■ 毎月1日発行(創刊 2012/08/01)
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■□SDPメールマガジン No.14□■
日本オリエンテーションSDP研究所客員研究員 大西正巳(元サントリー)、同高橋正二郎(元資生堂)、日本オリエンテーション主宰松本勝英 の共同メルマガです。お蔭さまで2年目に入っています。
◆INDEX
1.『QDAをベースにした商品開発(その2)』大西正巳
信頼おける官能評価データと分析や考察を加えてまとめあげる情報が官能開発の出来栄えを左右します。
2.『マーケティングに直結するU型の官能評価』高橋正二郎
U型の官能評価はお客さまに直接評価を委ねるため、お客さまの情報と自他社品の嗜好の関係など、マーケティングに直結した情報がえられます。
■「QDAをベースにした商品開発(その2)」大西正巳
官能開発を進めるために、まずは官能評価結果と関連情報を集約するライブラリー機能(モノとデータ/情報の質・量)を充実したいと思います。その中身は、自他社の評価製品とQDAの各特徴や強度を示す標準サンプルの適切な管理、そしてQDAデータ(プロファイルと品質のまとめ)、その官能軸を組み合わせた二次元マップや主成分分析結果、各製品の市場や製造に関連する情報、更には総合的な商品力の評価結果になります。また次回以降に触れますが、新商品/新品質のイメージづくりとそれを具体的に設計・開発へ進め、また評価するために欠かせない基盤情報もライブラリーの重要な要素です。例えば官能的な特徴を理解し、官能軸を操作する(つまり条件を定めて中味を造りこむ)ための品質−技術マップ、将来のおいしさイメージを描くために必要な感性的/情緒的な言葉や時代的なキーワードの官能用語への展開リスト、種々の参考すべき製品から抽出した感覚的な特徴と意味合いの分析リストなどが含まれます。これらの情報(結果や知見)とそこから膨らむヒントや製品アイデアは個人の領域に埋もれがちですが、以前述べたように出来るだけ見える化し、戦略情報として企画・設計・開発・生産部門の総力で作り上げ、共有したいものです。ライブラリーの資料を常に睨み、QDA評価を核に、サンプルは「どういう特性(強み・弱み)があり、その本質は何か」という洞察と「次は何が有望か、将来的な方向は何か」という発想を促すことが大切です。
さて必要条件となる官能データは全ての出発点になるため、官能環境や官能力を日々向上し、再現性が高く官能特性を的確に示すデータを得たいものです。統計解析を行うにしても確かな元データであることが前提となります。色々なサンプルのQDAプロファイルが充実するとプロファイルを見るだけでその具体的な香り・味わいがイメージできます。反対に、サンプルを官能評価すれば頭の中でプロファイルを描くことができます(実際には、所定のQDA評価チャートの官能項目ごとにその強度を記入しますが)。一方で、QDAプロファイルを見ても品質イメージが浮かばない、また官能的にはサンプル間に明らかな差異があるにも拘わらずプロファイル上では差が表れない場合はQDAの官能項目と強度の判定に問題があると考えられます。感じた特性をよりよく描写するにはQDAチャートの官能項目を追加、あるいは差し替えることも必要です。また官能的な特徴の強度判定に自信がない場合は、どのサンプルも中心寄りの(特徴が強くも弱くもない)官能スコアで、全体がこじんまりしたプロファイルになりがちです。そこで特徴の最大値/最小値を示す標準サンプルや参考サンプルの再評価とQDAチャート上の強度の確認も必要になります。いずれにせよ総合的な商品力評価とダイナミックな官能開発を進めるには信頼のおけるQDA評価が不可欠です。
■「マーケティングに直結するU型の官能評価」高橋正二郎
自他社品による官能評価を実施して売上などのデータと組み合わせれば、一応の市場分析ができ、とりあえずのマーケティング上の対策なら十分取れます。ところが、売上は総体のデータで、属性別のデータにはなっていないことがほとんどで、どの層に好まれているのかは鮮明にならないことが多いと思います。さらに売上自体もブランドの力やストアカバリッジなどの影響で、必ずしもお客さまの嗜好を反映しているとは限らないことがあります。このようなとき、お客さまに直接テスト品を官能評価していただくと、極めて有効な情報を得ることができます。これが嗜好型官能評価とも呼ばれているU型官能評価です。
U型の官能評価は、テスト品と対象評価員の組み合わせで、結果である思考や官能特性の評価が異なるところがT型と大きく異なるところです。ここがマーケティングの情報として価値のあるところです。通常、テスト品の評価はブラインド・テストで実施しますので、結果は実質的な商品の中味だけの評価になります。こうすることによって、売上では語り切れないお客さまの嗜好の状況が把握することができます。
更に重要なことは対象の評価員、つまりお客さまの代表ですが、この対象の評価員群にさまざまな形態に分轄できる情報を付与しておくと、嗜好と併せて立体的な分析が可能になります。例えば、基礎的な性別、年齢、職業、世帯構成などのデモグラフィック情報を始め、パーソナリティやライフスタイルに関する情報と共に、嗜好のデータ分析の試行を繰り返します。
すると、まず対象のお客さまの大きな集団がいくつかのグループに分割することができ、それぞれのグループは嗜好を中心とした情報で特徴づけができてきます。この段階を対象者の「セグメンテーション」ができたと言います。次に、どのグループにどんな手を打つかを考える訳で、その手を打つ対象となるグループをターゲットと言い、この作業を「ターゲティング」と言います。最後に、ターゲットに向かって現行の市場の中で「売り」を明確に出していく、位置づけを定めます。これを「ポジショニング」といい、通常は2軸の空間に位置づけます。その時の軸が、このU型官能評価の結果が中心になることは言うまでもありません。セグメンテーション(S)、ターゲティング(T)、ポジショニング(P)の3つはマーケティングのSTPと呼ばれ、マーケティングの進め方の基礎の基礎です。このマーケティングの第一歩の情報をえるためにU型の官能評価を実施する訳で、手間、時間、費用の負荷は小さくないですが、必要欠くべからざる工程です。
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◆皆さんのご意見、投稿大歓迎です。お待ちしています。
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・お客さまの共感を呼ぶ感性価値の溢れた「生活DELIGHT」の商品アイデアを提供します。
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≪SDP研究所メンバー紹介≫
■■大西正巳(おおにしまさみ)
◆サントリー(株)山崎蒸溜所・工場長、ブレンダー室長を歴任し、主に蒸溜酒の商品開発と技術開発を34年間担当。◆サントリー退社後、洋酒研究家及び酒類、食品の官能評価、品質開発、技術開発のコンサルタントとして独立。現在、鹿児島大学・農学部・非常勤講師を兼務。◆「おいしさ」を官能により評価すること、そして魅力的な「おいしさ」をデザインし、開発することを主テーマとして取り組んでいます。
■■高橋正二郎(たかはししょうじろう)
◆(株)資生堂で商品開発、官能評価、市場調査を担当。「データは手羽先」というスローガンを掲げ、鳥瞰的な統計理論の活用に加え、虫視的な生活観察と官能検査の考え方を導入し、商品開発に直結したデータマイニングを追求してきた。◆現在は、官能評価の創造的活用により、味覚・嗅覚・触覚に関わる感性価値の開発を中心にコンサルタントやセミナーで活動中。◆究極の目標として「触覚の美学」を掲げるも、道半ば。
■■まつもとかつひで
◆シーメンスを経て、1970年マーケティング・コンサルティングを業務とする(株)日本オリエンテーションを設立。 ◆食品、トイレタリー商品、薬品、家電商品、ミュージシャン、出版など、パッケージ商品、耐久消費財およびサービス商品のマーケティング、新商品戦略の立案を担当。「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナーを30年に渡って講演、3000人以上の受講者がいる。 コンサルタント歴は、毎年10〜15プロジェクトを指導。今までに300社以上の商品開発戦略、商品コンセプト開発、商品開発システムの革新を担当。◆現在、文化人類学、動物行動学、神経生理学、民族学、言語学などを統合した「新人間学」とマーケティング戦略との融合を追及中。
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■□■「SDPメルマガ」
■■■ 第14号(2013/09/02) (c) 2012Japan Orientation
■□■ 発行者 日本オリエンテーション 大西・高橋・松本
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