1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモト・新商品開発ミネラル」

【マツモト・新商品開発ミネラル】第357号

配信日:2014年5月20日

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・■■■        商品開発・マーケティングの
・■□■   MATSUMOTO・新商品開発MINERAL
・■■■     発行者:日本オリエンテーション 松本勝英
        毎月第1・第3火曜日発行(創刊 1999/10/01)
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    ■□ 第357号 Table of Contents □■
      ◇マツモト・商品開発ミネラル
      『ユニ・チャームに学ぶ 新興国ボリュームゾーン開拓法』
      『パッケージに社会性』
      『オムニチャネル』
      『度量』
      『横串』

<伝言>
第128回「新・商品開発プログラムのたて方36時間」セミナー
2014年7月3日スタート
商品開発プロになるための実践練習場です。“利益を生み出す新商品”を開発する、考え方、知恵・ノウハウを学ぶ。好奇心に火をつけるセミナーです。
◆ベトナムでのマーケティング活動を開始しています。
日本の大学、大学院を卒業してベトナムで起業している人たちがたくさん生まれてきています。彼らはいろいろな経験を積み重ねてきています。ベトナム企業と提携し、ベトナム、メコン圏市場に進出しませんか。いろいろなご相談、気軽にどうぞ。

2014年5月20日(火)
1970年に日本オリエンテーションを作り、マーケティング・商品開発のコンサルティングの仕事を40年、「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナーも127回、30年を越え、マツモト・ミネラルも今回で357号そろそろ15年、マツモト・ヒントビットは119号、そろそろ5年になります。よくやってきたとつくづく思います。皆さんのご支持があったればこそ。ベトナム、タイ、中国、韓国、トルコのマーケッターも読んでくれて、いろいろな方々に感謝です。

■『ユニ・チャームに学ぶ 新興国ボリュームゾーン開拓法』
★気づき
 最初に富裕層に的を絞るが、それでは当然ながらボリュームがでない。そこですぐ、その下の中間層にターゲットを切り替えたものの、そこはまだ布オムツが主流で、高い紙オムツには手が届かない。今さらながら、市場がないという現実に直面したのだ。
そこで、まずは現地に社員を派遣し、育児の実態をつぶさに観察することから始めることにした。1日のどんな時間に、どんな場所でオムツを替えるのか。母親の困りごとは何なのか。
その結果少しずつ見えてきたのが、母親が抱える衛生面での不安や心配だった。
外でオムツを替えるために赤ちゃんを寝かせる際、床や机が不衛生でベタベタしている。赤ちゃんを立たせてオムツを替えようとしても、布オムツではうまくいかない。そこで、パンツ型の紙オムツを試してもらったところ、これが大好評。しかし、通常のパンツ型の紙オムツは、寝かせて替えるテープ型の紙オムツよりもさらに高額だ。広く普及させるためには、価格を大幅に見直す必要がある。
ユニ・チャームは、素材や製造を工夫することで、パンツ型オムツを従来品の半分の値段にまで下げることに成功した。このパンツ型紙オムツ「マミーポコ」は、普通の紙オムツよりも安くなったため定番商品となり、いまやタイやインドネシアでは、オムツといえばマミーポコというぐらい浸透している。
顧客の潜在ニーズにこたえ(スマート)、かつ財布のサイズに合った(リーン)商品を開発する。このような事業モデルを、筆者は「スマート・リーン」と呼んでいる。ユニ・チャームは、この事業モデルを武器に、アジアの新興国市場を、次々と開拓していったのである。
名和 高司(なわ・たかし)
一橋大学大学院 国際企業戦略科教授

★コメント
 世界品質(グローバルブランド)開発のグローカル開発の成功例です。
P&Gの「チアー」の日本市場における失敗。「お湯、ぬるま湯、水のどの温度でもきれいに洗える」は、日本の風土、習慣にミートしていなかった。
人口30億人の新興国の市場をどうとらえるかが重要。YKKが「YKK」に続くブランド「ARC」を立ち上げ、年374億本の7割を売る。新興国で1万回の上げ下げに耐える「YKK」は過剰品質。ARCは品質基準を見直し、価格を半分に。中国の衣料企業350社が採用。
これからは、リバース・イノベーションの時代です。
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■『パッケージに社会性』
★気づき
 65歳以上の高年齢人口2000万人。身体障害者300万人。合計で1/5。パッケージもこれらの人に対応できるように、パッケージに社会性を取り込むことを考えなければ。

★コメント
 72歳、同感です。老眼(言葉としては共感しませんが)になると商品説明が大変読みにくくなり、そして誤使用が起こります。食品の加熱時間などポイントになる個所は大きな文字表示をするなどの工夫を。高齢者認知心理学(そんな研究をしている人がいるのか知りませんが)などの知恵を借りる必要があるのでは。
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■『オムニチャネル』
★気づき
「オムニチャネル」実店舗やテレビ、通販サイト、SNSなど、リアルとネットのあらゆる販路ツールを組み合わせて顧客に最も合う形で商品を販売する戦略。その他、ネット情報で得た情報を、得た消費者に実店舗での購入を促す「O2O(オンライン・トゥ・オフライン)」

★コメント
 各チャネルが分化していくのではなく、統合されて、新たな便利が創造されていく時代になるのでは。流通業、ネット企業だけではなく、メーカーとしてこの流れに乗っていけるか重要な課題です。
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■『度量』
★気づき
「昔、貴乃花が右ひざをけがして、ボロボロになりながらも武蔵丸との優勝決定戦に勝ち、当時の小泉純一郎首相が『痛みに耐えてよく頑張った。感動した!』と叫んで日本中が盛り上がったことがありましたよね。僕はあの時、この政治家嫌いだな、と思ったんです。なぜ武蔵丸に触れないのか、『2人とも頑張った』くらい言ってもいいんじゃないかと。外国出身力士の武蔵丸にとって、けがを押して土俵に上がった国民的ヒーローの貴乃花と戦うのは大変だったはず。武蔵丸や彼を応援している人はどんな気持ちだったのか。そこに目を配れるか否かは、政治家として非常に大事なところです。しかし現在の日本政治はそういう度量を完全に失っています」
「世の中には意味のない勝ちもあれば価値のある負けもある。もちろん価値のある勝ちが誰だっていい。でもこの二つしかないのなら、僕は価値のある負けを選びます。そういう人間もいることを示すのが僕の役割です。武蔵丸を応援している人間も、祭りを楽しめない人間もいる。『4割』に対する想像力を涵養(かんよう)するのが、映画や小説じゃないかな。僕はそう思って仕事しています」
是枝裕和 映画監督・テレビディレクター

★コメント
 共感ですね。この度量はこれからのリーダーにとって大変大切なことでは。しかし、度量はどう学べばよいのか、生まれながらのものなのか。負を背負うことも度量を高めるのに役立つのでは。負にくじけない。
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■『横串』
★気づき
 どこでも何にでも、「横串を刺せ」と言って回っている。大型化した社会や組織に分業が必要なのは言うまでもないが、専門化して他の言うことを聞かなくなるようではいけない。まして今のようなグローバル化の時代に、目の前の小さなことばかり考えてどうするのだろう。横断的に皆が知恵と情報を出し合って共に考え、大きなソリューションを求めていくべきだ。
私が「ものづくり」という言葉に余り良い印象を持たないのは、ものが「Mono」に聞こえるからかもしれない。「ことづくり」に不満があるのも、結局は「Single issue」を考えるにすぎない場合が多いからだ。たくさんのことを総合的に横につなぎ、クラスター化して行くなら、「ものがたりづくり」と言うべきだろう。
海外でも「横串」と言うために、Connectivityという言葉と概念を使っている。更に、異質のものが見事に融合する様をChemistryと表現しながら、「横串」というものの重要性を再確認しているのである。
ところが世の中はもっと進んでいるのだ。ヒトモノカネを超え劇的なグローバル化を遂げた「情報」の現在の状況をハイパー・コネクティビティ(Hyper-connectivity)と表現する者が出て来た。「横串」どころか、世界のありとあらゆるところで、私たちは勝手にどんどんつながって行っているのですよ、と言うのだ。
圧倒的なMassが勝手にどんどんつながる、と聞くとまずはカオス的状態を思い浮かべてしまう。しかし、その先に必ず自己組織化が始まると言っても良いだろう。
そこで新たに組織化されたものへ提供するサービスは、きっと大きな価値を生むはずだ。
三菱ケミカルホールディングス社長 小林喜光氏

★コメント
「横串」 日本独自な概念に思えたが、世界に同じ概念があるのだ。ビッグデータを横串、ハイパー・コネクティビティ(Hyper-connectivity)して、どんな物語を創造するか。横串・イノベーションを起こそう。
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◆土日朝一番の映画
★『ワレサ 連帯の男 原題;Walesa. Czlowiek z nadziei』
監督;アンジェイ・ワイダ キャスト;ロベルト・ビェンツキェビチ、アグニェシュカ・グロホウスカ
ノーベル平和賞受賞者のレフ・ワレサ元大統領を描いた長編作。労組「連帯」の戦いを通じて、リーダーとして歴史の転換を生み出す。何回殺される危機があったんだろうか。
★『リベンジ・マッチ 原題;Grudge Match』
監督;ピーター・シーガル キャスト;ロバート・デ・ニーロ、シルベスター・スタローン
人生最後のビッグマッチ、最後がカッコよければカッコがいい。ボクシング映画なのでボクシングファンとしては見に行かなければ。
★「チョコレートドーナツ 原題;Any Day Now」
監督;トラビス・ファイン キャスト;アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイバ
1970年代の差別と偏見が最後は悲劇につながる。ショウダンサーを目指すルディの勇気と弁護士のポールの優しさ、ダウン症のマルコ。時代は変わってきている。オススメ。
★「そこのみにて光輝く」
監督;呉美保 キャスト;綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉
佐藤泰志の世界はトコトコトン悲しい。そして耐えて、耐えて、耐える。日本人でしか書けない小説であり、描けない映画です。『海炭市叙景』に続く最高傑作。オススメ。
★「アデル、ブルーは熱い色 原題;La vie d'Adele」
監督;アブデラティフ・ケシシュ キャスト;アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥー
開かれたのか、閉じられたのか。歓喜と寂しさ。女同士のセックスがロングで綺麗、フランス映画は知的ですね。3時間、ちょっとお尻が痛い。

日本オリエンテーション主宰 まつもとかつひで

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第357号(2014/5/20) (c) 1999Japan Orientation
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