配信日:2002年05月31日
・・‥‥………………………………………………………………………‥‥・・
・■■■ 商品開発・マーケティングの ■■■・
■□■ MATSUMOTO・MINERAL ■□■
・■■■ 発行者:日本オリエンテーション 松本 勝英 ■■■・
・・‥‥……… by Japan Orientation 等幅フォント推奨 …………‥‥・・
http://www.jorien.com
5月14日(火)ベトナムから帰ってきました。いろいろ気になること、
印象的なことがありました。トイレが臭くなかったこと、旅行者向けでな
い普通のトイレにも入ったのですが、東京の男性トイレのような、いやな
臭いがありませんでした。野菜中心の食事が原因なのか。オートバイの洪
水です。1台に5人、家族全員が乗っている感じでした。みんなマスクを
して、ヘルメットを被っている人はわずかで、車が来ても平気で道路の真
ん中を、横並びで走っています。信号も少なく、オートバイ洪水の中を人
々がゆっくり横断しています。無秩序の中の秩序がありました。暗黙のル
ールは弱者優先、強者(トラックなどの車)は私はここにいるよ、気をつ
けてとクラクションを鳴らし合図をする。あまり事故現場を見ませんでし
た。東洋的あうんの感覚なのか。バッチャン陶器も気に入りました。赤絵
のトンボが素朴で、東洋的で、農村的で、なにか懐かしく訴えかけてきま
した。「行こうよ」でベトナムへ行きませんか。
この2週間の仕事の中で気になったことがあります。スピードです。開
発スピードが遅いのです。サッカー型のフォーメーションスタイルになら
ないとスピードは上がらない。その時その時の状況状況を判断して、今何
をやらなければいけないのかを、全員が認識して、共有化されている組織、
意識が重要です。
5月21日(火)22日(水)は「商品開発リーダー講座」で10時間
の講演。システムではなかなか魅力的商品は生まれなくなっている。自分
「が」欲しい、この機能「が」欲しい、この形「が」好きという「が」の
開発をするにはどうするのかを中心に話をしました。仮説提案型商品開発
が求められています。参加者の感想が日本オリエンテーションホームペー
ジに載っています。見て下さい。
http://www.jorien.com
5月29日(水)は第14回魅力研究会「感性生活研究」に出席しまし
た。普段の生活の中で、装いを感じさせない、「おもてなし」が求められ
ている。商品はカッコ良くプレゼンするための、引き立ててくれるモノと
して考えている。センスアップが大事な価値観で、センスアップソフト、
センスアップ商品(部品)を欲している。固定的な使い方に対して、自分
のセンスで本来の目的とは異なる使い方ができる、使い遊び感覚が重要。
栗原はるみの魅力は「さもない料理」「普通なことをちょっとおしゃれに」
「栗原流のこだわり」この魅力研究会から得た「感性生活」キーワードは
「もてなし感覚」「センスアップ」「使い遊び感覚」「センスアップ編集
ソフト」「センス表現部品商品」「日本的中流幸せ感の提案」「栗原はる
み的なアイコンの開発」などなど。刺激になりました。男はまだまだ「感
性生活」からおくれているとの実感。
日本オリエンテーション 主宰 松本 勝英
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
MATSUMOTO・MINERALのバックナンバーは以下のアドレス
でご覧になれます。
http://www.jorien.com/mineral.html
■■■
■□■…第65号の内容……………………………………………………‥‥・・
■■■ Table of Contents
┛┛┛
┛┛┛ 『衣』
┛┛┛ 『ビジュアルマーチャンダイジングの基本』
┛┛┛ 『育てる』
┛┛┛ 『粋・そばにファンタジーあり』
┛┛┛ 『日本人の美意識』
┛┛┛ ・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『衣』
★解 説
衣裳と名指されたモノはそれが「着る」モノではなく、「見られ
る」モノとなったとき、突然のように新しい概念へと変貌する。
「見られる」モノになったとき、差別や区別や弁別のしるしになっ
てしまう。
★ミネラル
視点が変わる、または変えることによって同じ製品が今までとま
ったく異なる製品に変わる。繊維産業の時代は「体を保護する衣服」
であったが、「人に見られる衣服」に変わったことによってアパレ
ル産業が台頭した。これからはどんな衣服の視点が生まれ、どんな
産業に変化していくのか。「体を愉快にする衣服」「心を癒す衣服」
の視点が何かを生まないだろうか。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『ビジュアルマーチャンダイジングの基本』
★解 説
1)絞り込みの対象が何であるのかを、ビジュアルメッセージで端
的に表現している
2)希望商品を探し回る煩わしさを解決する、シンプルで買い易い
レイアウト
3)親しみやすく、やすらぎを感じる夢のある環境が形成されてい
る
4)販売員サービスが充実し、店員の優しさ、ぬくもりが伝わる雰
囲気づくり
★ミネラル
ビジュアルには理性的機能と、感覚的機能とがある。しかしそこ
にヒューマンな要素がなければ伝わらない。20年前にある外資系
企業のセールスマニュアルを作ったことがあります。その時表紙に
「このマニュアルをあなたらしく活用して下さい。そうすればあな
たにとって大切なパートナーになります」と書いたのを思い出しま
した。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『育てる』
★解 説
映画「KT」の監督阪本順治の話し。映画「どついたるねん」僕
は無名だし、主演の赤井英和は全国区じゃないし、ボクシング映画
は当たらないと言うし、その3つのマイナス要素を抱えて、勝つた
めにはどうすればいいかと言うと、点から始めてそれを平面にして
いく。つまり時間をかけていくしかない「どついてるねん」をつく
ったとき原宿の空き地にテントを張って上映した。育てていく時、
ドームは仮設で移動できることとか、長時間粘って頑張れることと
かいろいろ利点がある。
映画監督 阪本順治
★ミネラル
今ヒットしている映画「KT」の監督である阪本順治の昔のイン
タビューです。「どついたるねん」をつくった時には彼の作品を上
映する映画館がなく、原宿の空き地にテントを立てて上映していた
ことが印象的でした。私も見に行きましたが、まだ印象に残ってい
ます。売ってくれるところがなければ自分で売ることを、当時学ん
だ気がします。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『粋・そばにファンタジーあり』
★解 説
うどんはぜいたくな食品です。そばと比べてたんぱく価が低い。
だから、肉やほかの食品と一緒に食べる。昔からうどんが好きなの
は上流階級なんです。そばはビタミンBも豊富で、江戸時代に流行
した脚気の予防にもなることから、江戸の庶民に欠かせない食べ物
になりました。そばは上手に粋の世界に入り、いつしか、うどんと
立場が逆転しました。粋というのは、つまらないものにカネを払う
ということです。自分たちで勝手にイメージを膨らませて高い金を
払って喜んでいる。ではお客様はなぜそうまでしてそばを食べたが
るのか? それはファンタジーを食べているからです。
2002.1.4 朝日新聞 藤村和夫(元「有楽町・更科」4代目)
★ミネラル
シンプルな世界に「粋」という概念が生まれるので。よけいなご
ちゃごちゃした要素を出来るだけ取り除き、本質を深化させること
が嗜好商品の開発につながるのでは。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『日本人の美意識』
★解 説
近世文学から始めた研究を半世紀続けるうちに、次第に日本の美
意識とは何か、その神髄について考えるようになりました。今、
「足利義政と銀閣寺」を「中央公論」に連載しているのも、義政の
はぐくんだ東山文化こそ、日本の美に特有のかたちを与えたものだ
と確信したからです。茶の湯、墨絵、それを飾る床の間など室内の
様式や、料理などを含め、現代に続く日本の生活文化が定まったの
はすべてこの時代、十五世紀後半です。この控えめな気品に満ちた
様式は、主に四つの要素--「暗示」「簡素」「不均整」「無常」か
ら構成されていると私はとらえています。吉田兼好や歌僧の正徹が
発見したのが「暗示」で、ここから鑑賞者の想像力によって、無限
の美が広がる。「簡素」というのは、それだけ物の本質が現れ、ま
さに鑑賞者の目が問われる。お能はこれらが結晶した芸術ですね。
「無常」は言い換えれば、ほろび易さであり、おそらく最も日本人
に特有の美意識でしょう。西洋は芸術の不滅と均衡を好みますが、
日本人はほろびと破綻(「不均衡」)がないと魅力を感じない。
2002.1.26 読売新聞 ドナルド・キーン(コロンビア大学名誉教授)
★ミネラル
日本の特有な美のあり方をもう一度再発見し、現代の生活の中に
取り込んでみることが必要では、と感じています。「控えめな気品」
「暗示」「簡素」「不均衡」「無常」を味わってみたいと思ってい
ます。コンセプト開発のおもしろいヒントでは。
■■■
■□■…「MATSUMOTO・MINERAL」とは……………‥‥・・
■■■
数年前から新聞、雑誌、本、いろいろな人との話し合い、そして自分
で考えたことで、いろいろ考えるときの私のマーケティング・ミネラル
となっているメモです。出所など明記をしなければいけないものも入っ
ていますが、あるものとないものが入っています。ご了解ください。
原則として毎月2回(1日と15日)みなさんのメールに投げ込んで行
きます。触ってみてください。
■■■
■□■…2002年6月の日本オリエンテーションのご案内………‥‥・・
■■■
★6月7日(金)までにホームページから申し込むと
「第73回 商品開発プログラムのたて方<30時間コース>」
「商品開発サクセスセオリー」大阪開催
のセミナー受講料が割引になります。
詳細、申し込みは日本オリエンテーションホームページをご覧下さ
い。
お申し込み:http://www.jorien.com
お問合せ:MailTo:webmaster@jorien.com
・■■■………………………………………………………………………‥‥・・
■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第65号 (2002/5/31) (c) 1999 Japan Orientation
・・‥‥………………………………………………………………………‥‥・・
┛┛┛ 発行者 日本オリエンテーション 松本 勝英
┛┛┛ 問い合わせ MailTo:webmaster@jorien.com
┛┛┛ 登録・削除 MailTo:mineral@jorien.com
・