配信日:2003年03月18日
第84号
春。はるという言葉のひびきが春らしいですね。
桜やいろいろの木々が芽吹いてきていて大変色っぽく感じます。
芽吹きを見ていると自然のすごいエネルギーを感じ、人間も気が充実してく
る感じがします。しかし、この時期にはいろいろなことが起こります。革命
が起きたり戦争が起きたりコントロールできない力が暴れます。戦争になら
ないように心配しています。
3月11日(火)私のPDAのデータが全てなくなってしまいました。シ
ョックでした。おいしい店リスト、電話番号、コンサルティングメモ、セミ
ナーメモなど全てなくなってしまいました。どこに行ってしまったのでしょ
うか。モノなら探しにいけるのに情報はそういうわけにはいきません。なく
してわかったことは道具・機械に対する過度の依存の危険です。
今、人間は他に対する過度の依存によって生活しています。依存することに
よって人間は弱くなっているのでは。マクルーハンは「人間拡張の原理」で
機械、コンピューターなどによって人間は拡張していくと述べていましたが、
本当でしょうか。車への依存によって足はどんどん退化していってるのでは、
パソコンへの依存でどんどん考える力は落ちていくのではないかと心配して
います。(「魅力研究会」で「DASH村」への共感、「MUJInet」
の研究会があります。詳細申し込みは)
http://www.jorien.com/seminar-miryoku33m.html
今回も聞いたこと、話したこと、見たことをメモってみます。
<聞いたこと>(これは私の勝手なメモです)
3月3日魅力研究会「超成熟時代のライフスタイル研究」
* 江戸の成熟性
日本の歴史における18世紀の位置づけ・意味合いは、日本前近代の長い道
のりの中で、世界史と本格的に出会う前の到達点。衣食住の独自性、人々の
結合関係、家意識、宗教、民族、芸術など多面的側面にわたり、日本の「固
有文化」の形質が18世紀に成熟し結晶したと考えられる。歌舞伎が商品の
シンボル、流行の源泉を担って行く。これらには「衒示的消費」conspicuous
consumption の欲望を挑発するオーラに満ちあふれていた。文化活動が成熟
社会のキーになるのでは。
*成熟社会とは
成熟社会とは「人口及び物質的消費の成長はあきらめても、生活の質を向上
させることをあきらめない世界」(ガボール「成熟社会」)
3月6日魅力研究会「感性品質の開発研究」
ナレジックスCOO渡辺英夫氏の話
*魅力開発は欲望開発
人々のpurseとpurposeにあった車を作れ GM/Alferd Sloan
人々が欲しくて欲しくてならなくなるものを作ることだ A.Morita
便利で役立つのは当然として生きる喜びを与えているか
*Story Tellerになる;Einfuhlung(感情移入)、Function follows Fiction.
新しい価値の啓蒙はできるか、人の心に欲求を芽生えさせることができるか
など。魅力開発については大変共感でした。
3月11日「健康マーケティング商品開発講座」
立川昭二氏から
*養生訓から学ぶ;低成長時代の生き方、人生の後半をイキイキ、体力の思
想はない、気が重要、気が満ちている、食気、心気
*民間健康法;現在の健康概念への対抗概念が民間健康法につながる。近代
に対して伝統、文明に対して自然。
日本テレビエンタープライズ斎藤太朗氏から
*おもいっきりテレビは
健康な人の健康番組。健康の中に医学があることが必要、今は医学のなかに
健康がある。
役に立つ、結果的に得する、日常的生活の見直し?ヒジキ、ココア、バナナ、
ラッキョ、味付けツナ缶の番組は好評だった。
<話したこと>
この時期は私のセミナーがなかったので人とお会いしたときのメモです。
大恐慌になるよね、そうなったらマーケティングは。健康食品は、おいしく
楽しく、そして健康にならなければ。感性を評価するシステムに感性クリエ
ーションのプロセスをどう入れるか。こだわりをどう魅力に変えるか。これ
からの大人の夢をかなえる保険とは。健康商品の類型化と成功パターン。
などなど。
<見たこと>
3月14日 世界の食品見本市FOODEXに行って来ました。イタリア、
フランスなど食の発信国を見ましたが新しいモノはなく、質を追求した深い
ものが多かった感じがしました。「新」ではなく「深」がこれからのテーマ
では。素材(塩、有機など)などへの原点回帰も感じました。
3月17日三越へ14代今泉今右衛門さんの襲名後の初の有田焼の個展を見
に行きます。知り合いの方の紹介で直接今右衛門さんにご案内いただけるこ
とと、その後一杯飲みながらお話が出来るのが楽しみです。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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■『魅力とは』
★解 説
魅力とはクライアントが望んでいるものではなく、それが欲しい
とクライアントが夢にも思わなかったものを、期限内に、予算内に
提供すること。正気か?と言われたことはやった方がいい。「それ
は良い」と言われたらそれは既に誰かがやっている。
御手洗富士夫(キャノン社長)
★ミネラル
需要があるから供給するのではなく、供給することによって需要
を作ることがこれからの魅力の開発です。そのためには時代・市場
・生活価値観の変化のにおいをかぎ取り、大胆な仮説づくりがポイ
ントになります。変化のにおいに敏感ですか。
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■『進歩から発展へ』
★解 説
進歩の幻想から抜け出そう。19世紀の価値観である「進歩」は
均一化(人間も)効率化のみ。生物としての人間は多様・質プロセ
スが重要。これからはPROGRESS(進歩)に対してEVOLUTION(展開)
とDEVELOPMENY(発展)が必要。 中村柱子氏 朝日新聞
★ミネラル
進歩は量的拡大概念ですが、発展は個々の発達、発育、進展とい
う質的概念です。特にこれからは大人としてどう発達、発育、進展
していくのかが大人社会で重要になるのでは。
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■『アイデンティティ』
★解 説
帰属。不安による「心細さ」を解決するための「帰依」。「わた
しは・・・である」「・・・である」についてのはっきりした自信
がない。「・・・」を埋めてもらえそうな集団に帰依、帰属したい
そんな現代では。
★ミネラル
商品を持つことによってアイデンティティを確認する、それが意
味的価値です。今、消費者はどんなアイデンティティを求めている
のでしょうか。グローバル化の中で「私は日本人である」ことを求
め、日本的感性商品(和をテーマにした商品、和の住宅、お茶など)
を求めているのでは。あなたはどんな「・・・である」を求めてい
ますか。そしてどんな商品を欲していますか。
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■『知性、理性、勘』
★解 説
現象から原因を探るのが知性で、さらに原理を導き出すのが理性。
原理を持って次を予測することが「勘」になる。先見性とは正しい
観察と鋭敏な勘を備えていることを言う。
堺屋太一 朝日新聞 98.1.1
★ミネラル
ひらめいていますか。気づきがあって、WHYの力で本質を見つ
け、そこから飛躍するひらめきが重要。しかし、ひらめきを言葉に
出来ないとそのひらめきは発展しない。
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■『創発』
★解 説
プログラムなき情報生活(アドリブ・インスタレーション)の中
で、その場の状況に乗っての即興知、臨場知などが重要になってく
る。情報の区切り方と知の編集、情報のインテリジェント化が「創
発」を生む。創造とは「立ちあらわれ」「驚き」です。
★ミネラル
「知」には「生命の知」と「学習の知」とがあります。これから
は「生命の知」が重要になってきます。状況の変化に対して瞬時に
対応する力。昔の武芸者にはそんな「生命の知」があったのではな
いでしょうか。宮本武蔵も「生命の知」を持ったヒトだったのでは。
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■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第84号 (2003/3/18) (c) 1999 Japan Orientation
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