配信日:2003年04月01日
第85号
4月1日、新年度です。
変化という魔物が徘徊しています。私もその虜になっている一人かも。
変化を創造する、変化に適応する。そうしないと恐ろしいことになりますよ。
まてまて本当かな。
そんな気がしている新年度です。
神話が気になります。
評論家である三浦雅士さんが「古代人は神話を反復しようとし、現代人は歴
史を創造しようとする。歴史を創造しようとするその行為はしかし、結果的
に、不幸の羅列以外の何物ももたらさなかった。児童の詩が人の心を洗うの
は、そこに永遠の神話が潜んでいるからなのだ。反復する生命の現象だけが
くっきり浮かび上がってくる。永遠回帰の神話と呼べるもの。人間は情報を
伝えながら自己を語り、自己を語りながら神話を語る存在なのだ。にもかか
わらず神話は現代の表舞台から姿を消している。エリアーデンは神話の時代
から歴史の時代への移行に不幸を見た。単純化して言えば、多神教の時代か
ら一神教の時代への入り口を不幸であるとみなしたのだ。」(三浦雅士
読売新聞 020729,020730)
近未来の人たちが人間であることを回復するために、リハビリテーションと
して神話の学習をする。神話とは世界に輪郭や意味を与えるものでは。
古典の世界も気になります。
神話も古典も気になりませんか。変化の時代だから。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
■『言葉の力』
★解 説
自分を伸ばしたいなら新聞を1日2時間読むこと。半年やれば全
く変わる。わからないニュースでも何でもいいからとにかく読む。
世界観をどうつくるかでも文字情報が一番いい。これからも言葉を
扱う技術に優れた人が生き残る。逆に理系の細かなテクニックはど
んどんブラックボックス化していく。言葉の力というのはものすご
く強い。良い企画やアイディアはイメージとして言葉からでること
が多い。(作家 石田衣良)
★ミネラル
1日2時間新聞を読むこと、それを半年やるということは至難な
ことです。しかし朝5時に起きれば楽々です。20年来、朝5時起
きの私にとっては新聞は発想の森でした。特集記事よりも小さなコ
ラム、記事など、時系列に見ていくと大きな変化の予兆であったり
しておもしろいです。
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■『こだわりと謙虚』
★解 説
商品への「こだわり」がないといいものは出ない。その一方で市
場の判断を仰ぐという謙虚さがないと消費者に受け入れられない。
(花王後藤卓也社長)
★ミネラル
「こだわり」は想いです。想いを提案することによって、消費者
との間に「共感」という消費者とのキャッチボールをすることが、
これからの商品開発のあり方だと思っています。想いは大胆に、キ
ャッチボールは謙虚に。
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■『問いのたてかた』
★解 説
正しい問いのたて方は「これはよい方法なのか」ではなく、「こ
の方法は当社にあっているのか、当社の基本理念と理想にあってい
るのか」である。
★ミネラル
答えを考えることより、適切な「問い」をたてることが重要です。
問いが適切なら自ずから解は生まれてきます。その問いをたてると
きに、自社の理念、強さとの整合性が指針になります。みなさんの
企業の理念、強さをはっきり自覚していますか。
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■『プロデューサー』
★解 説
「一週間人間を目で見て、耳で聞いて、おもしろいと気づいたこ
とを、おもしろいと伝わるように話す」ことが大事。
★ミネラル
「気づき」をつくるには、問題意識が基点になります。問題意識
と情報が出会ったときが「気づき」です。「気づき」を自分なりに
消化して表現できないと感性は高まりません。マンウオッチングと
おしゃべりのすすめです。そしてボキャブラリーを豊かに。
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■『21世紀に人間は改めて鍛え直さなければ』
★解 説
自然だけが環境だった時に、それに適合するために自己を変容さ
せてきたのが動物です。それに対して人間は科学技術で自然の方を
変えて自己に適応させるようにしてきました。しかし科学技術が高
度に発達する中で倫理のような人間性を失えば、技術による新しい
環境に適合するだけの技術動物になってしまう。しかし粗な中で自
分を鍛えることを怠れば「動物的退行」に陥る危険がある。すでに
その「動物的退行」は進んでいる。
(哲学者 今道友信 日経産業新聞030106)
★ミネラル
倫理学のフロントランナーである今道さんの発言です。科学技術
に自己を変容させ、人間としての倫理が弱くなっていくことの怖さ
を感じます。遺伝子工学で生命が情報として捉えられてが、やはり
人間は情報ではなく人間なのだ。倫理を鍛えましょう。
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■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第85号 (2003/4/1) (c) 1999 Japan Orientation
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