配信日:2003年06月03日
第89号
楽しく5月が終わりました。
好きなことを学び、好きな遊びをし、好きな仕事をしたいと宣言してから
10ヶ月ほどになります。なかなか思うようにはいっていません。
いやな事件が起こり、ニュースを見るのも嫌になるこの頃です。イギリスで
「明るいニュース」専門ラジオ局があったようです。今はどうなっているの
かわかりませんが。今の世相では必要では。
5月の楽しかったこと。
5月8日(木)企業の社内セミナー&ディスカッションの仕事。行ってびっ
くり参加者が部長とマネージャーの3人でした。大きな机に私を入れて4人。
1時間の話が2時間近くになってしまいました。話の反応が近くで感じられ、
反応に応じて話が深くなったり、広くなったりで、ちょっとハイになりまし
た。アドリブの楽しさです。その後一杯やりながら生々しい話も興味深く、
楽しい仕事でした。
今HPの作り直しをしています。求心力のあるHPにしたいと思っています。
そのためにどのようなトップページをつくるかを楽しく論議しています。裏
通りの隠れ家からキラリとした発信をしていきたい、新聞の1面の作り方が
参考にならないか、背景は城壁の石垣をデザインできないか。大きな、いろ
いろな石を城壁に組み合わせる技術はすごいよね。あれこれ言いながら自分
たちの理念を込めていくのは楽しい。
6月末には完成する予定です。おもしろくします。
5月15日(木)前回も書きましたが、日本オリエンテーションを訪ねてく
れた企業の人に「貧乏人の焼きそば」デビューも緊張でした。
これからも企業の方々を試し台にして(失礼ですが)、私の手料理を食べて
いただきながら論議をしたいと思っています。試されたい方ぜひお申し出下
さい。今できるメニューは「貧乏人の焼きそば」「勝ちゃんの麻婆豆腐」
「習いたてのかに玉」「お酒のつまみの数の子」「出汁巻き卵焼き」「ひや
汁」です。まだまだ未熟です。
25日(日)企業の方3人で湯島の旧岩崎邸へ。湯島の中の静かな洋館と和
風住宅が融合していないように見えて、融合している感じがなかなかでした。
帰りに駒形でドジョウの丸煮鍋を食らい、いろいろ食談義。ドジョウの煮汁
がゴボウに浸みて、ゴボウも主役でした。
5月29日(木)仕事時間中に映画を見に行きました(内緒ですが)。昼間
見る映画は、5時前に飲むお酒と同じでおいしいです。映画「WATARI
DORI」良かったですよ。いろいろな鳥が、渡りを通して生を伝えていま
す。これといったストーリーはないのですが映像の力で圧倒です。飛んでい
るときの躍動、気流に乗って浮いているバランス、魚を捕獲するときの加速
の凄さ。渡りで行って、また渡りで帰ってくる、淡々としていてすごい映画
でした。帰りに行きつけの「月とすっぽん」で楽しいお酒。
5月31日(土)台風接近の中、大阪の企業の方と打ち合わせと昼食。ミネ
ラル100回記念イベントで考えている、「マーケティング・ボクシング」
の話で盛り上がりました。ビールメーカーのマーケッターとビール好きのマ
ーケッターで魅力的ビールのボクシング、住宅メーカーのマーケッターとカ
ーサ・ブルータスの読者で、家を建てたいと思っている菓子メーカーのマー
ケッターによる魅力的住宅とは。後楽園のリングでやったら。どんどん話が
膨らんできました。その時の楽しい雰囲気が伝えられないのが残念です。
まあまあ楽しい5月でした。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
■『職人』
★解 説
職人の役割は、よりよく作り込む人である。
★ミネラル
これからの魅力的商品は作り込まれた商品では。先日新聞でドイ
ツのマイスター制度が形骸化するとの記事がありました。心配です。
高価値の時計は職人の手によってつくられています。独自化、魅力
化には職人をどう育てていくか重要な手掛かりになるのでは。
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■『ペットに見る心・社会』
★解 説
ペットを飼っている女性において、ペットへの愛着が強いほど幸
福感が低い。65歳以上の高齢者では、ペットを飼っているヒトよ
りも飼っていないヒトの方が親しい友人が多い。5世帯に1世帯が
犬を飼っている。日本人の健全な自然回帰と見るか、それとも現代
社会の病体の片鱗と見るか。
林良博(東京大学教授)獣医学「ヒトと動物の関係学会」
★ミネラル
ペットというのは幸福商品?。今消費者は幸福、幸福感を求めて
いるのでは。幸福に見えることが健康にとってだいじだと日本オリ
エンテーションの「開発視点30?女性のヘルスケア市場」の調査
結果でも出ています。幸福とは人持ちです。いい家族、いい友人が
大切ですね。
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■『教育』
★解 説
教育とはコンテンツ(知識)を教えることではなく、コンテキス
ト(状況)を学ぶことが重要。
★ミネラル
私のセミナーではこうですよと結論を話すより、こんなことの気
づきがあって、それをこんな見方で見ると、生活価値観がこんな方
向に変化しているのでは、だからこの商品コンセプトで行こうよ、
ということをだいじにしていこうと思っています。
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■『成功体験は足かせに』
★解 説
常識捨て変革に挑め。変化への対応で、最も障害になるのは過去
の成功体験だ。今、セブンイレブンが伸びているのに、ヨーカ堂は
厳しい状況にある。それは、ヨーカ堂が、一時、一人勝ちだと言わ
れた成功体験を持ったからだ。人間は、追い込まれるほど、過去の
成功体験にしがみつき、その範ちゅうでものごとを考える。
2001.6.19 日経流通新聞 鈴木敏文(イトーヨーカ堂社長)
★ミネラル
いま成功体験が豊富な企業が苦しんでいます。成功体験豊富な人
が意志決定者だということも、顧客視点で変革していくことの妨げ
になっているんでは。捨てることの難しさ。心して下さい。
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■『価値』
★解 説
どんな場合でも価値は、人間と商品の間に生まれる。毛皮のコー
トという単品に、当初から「価値」が内在しているのではない。寒
いときに着て初めて、毛皮というモノは「価値」がある。熱帯では、
毛皮のコートは「価値」ではない。にもかかわらずこれまで、価値
が単品に付加している、モノが価値である、と錯覚出来たのは、人
間は無視してよかったからだ。コモディティは、誰にとっても、同
じ価値をもつ。誰にとっても価値は同じだということは、コンシュ
ーマーは、顔がない・名前がない、無名・匿名の存在だ、無視して
いい、ということだからである。客は他人とまったく「同じコンシ
ューマー」として、「商品によって価値がちがう」商品を利用して
いたのである。
カスタマーとは、逆にそれぞれ固有の顔、ニーズを持った、名前の
ある存在である。「同じ商品が」、「カスタマーによって価値がち
がう」。トイザラスにある商品群は、大人である私には、何の価値
もない。丸井にある商品群は、ヤング・ファッション・カスタマー
ではない私には何の価値もない。タダでもらっても、眺めるしかな
い。
カスタマーによって、同じ商品の価値が違うのは、どんなカスタマ
ーになるかによって、望むライフスタイルが違うからである。ライ
フスタイルは、ふつう単品では実現しない。そこで、あるライフス
タイルを実現するアソートメント、あるいは商品群がブランドにな
る。
多くのナショナル・ブランド・コンピュータが、普及してコモディ
ティになったのに対し、ソニーのバイオはカスタマー・ブランドで
あり続けている。それは当初から、モノとしてのコンピュータでは
なく、オーディオ・ビジュアルを楽しむカスタマーのためのコンピ
ュータを目指していたからである。
ある商品群、アソートメント、ライフスタイルを一目で見られるの
は、多くの場合店舗である。そこで店舗がカスタマー・ブランドに
なった。店舗というハード・店舗の名声・店舗の立地や広さが、ブ
ランドになるのではなく、アソートメントが、アソートメントが暗
示するライフスタイルがブランドになるのである。
単に商品群やアソートメントだけでは、ブランドではない。ある
ライフスタイルが実現する保証こそ、カスタマー・ブランドである。
それを保証する最低必要条件がアソートメントだ、というに過ぎな
い。
アスクルが、店舗無しにカスタマー・ブランドである理由はここに
ある。セブン・イレブンの弁当やおにぎりが、カスタマー・ブラン
ドである理由も、ここにある。カスタマー価値は、包括的価値であ
る。印刷用紙と印刷トナーは、カスタマーの望む明後日届いてこそ
価値である。明日や明々後日届いたのでは、印刷用紙とトナーが違
う時間帯に届いたのでは、価値とはいえない。明日届こうが明後日
・明々後日届こうが、印刷用紙とトナーの「品質」も「価格」も同
じであり、印刷用紙とトナーの組合わせも同じであるが、カスタマ
ーにとっての価値はまったくちがう。
重要なのは、これがリクツなどではない、ということである。
いまコンシューマーはコンシューマーのままでいることを拒否し、
何らかのカスタマーになることを望んでいる。その望みが十分に叶
えられないから、「消費は沈滞」しているのである。
(2002.6.30)島田陽介
★ミネラル
長いメモですがなかなか鋭い指摘です。味わって読んでみて下さ
い。お客の顔、ライフスタイルが見える、その人達の生活をサポー
トするためのソリューション(アソート)が価値を生み出していく
のです。ターゲットのライフスタイルを明確化して、顧客購買代理
人としての価値づくりが望まれています。企業同士のコンソーシア
ムも必要になるのでは。
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■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第89号 (2003/6/3) (c) 1999 Japan Orientation
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