1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第91号

配信日:2003年07月01日

第91号
『スイス時計の高付加価値化』『注目率の高いのは』『情緒的ニーズ』『イノベーションの一例』他


変化に慣れる
変化はストレスです。いい意味でも、嫌な意味でも。
新しいことはどんな結果になるかの予測が出来ない、何とかして避けようと
思ってしまう。そうしながら人間は生きてきたのです。しかし、いまは変化
にどう取り組むかが重要な時代。毎日、毎時間、変化しています。変化に強
くなるには、毎日少しづつでも変化させ、変化になれることが大切。それも
楽しんで。

6月のいつもと違ったこと
変化を身近に感じ取るために、いつもと違った今月をメモにしてみました。
6月1日(日)、大手印刷メーカーのデザインを仕事にしている人の「和紙
工房」を8人で訪ねました。和紙づくりで有名な小川町の近くです。和紙の
作品を拝見し、和紙づくりのステップを聞き、挑戦です。
和紙の原料の繊維を砕き、粘着材と一緒に型枠に入れ、台板(これが大事で
した)の上に反転し乾かす。
手を使ってつくる楽しみを体験しました。各人なりのいろいろな工夫をして
作品(自分で思っているだけで、作品と呼べるものではありませんが)にし
ました。出来るだけ薄く、シンプルにつくる、虫食いの枯れ葉を入れて、味
を出したい。芸術家気取りで楽しみました。

和紙が出来上がったので23日(月)事務所で作品?品評会。
前日の日曜日に、鶏と煮タマゴの料理をカミさんの指導でつくる。鶏肉に触
るのが苦手ですが、味が浸みやすくするためにフォークで刺したり、ゆでた
まごの黄身が真ん中に行くように、かき混ぜたりいろいろ工夫を体得しまし
た。いい経験です。
当日、企業からの帰りに、松屋で鹿児島のさつま揚げと、なすの漬け物を買
い、雨だから2700円のさつま揚げを2000円に負けてもらったりして、
雨の日は負けてくれるのだ。当日は6人プラス2人の8人で、お酒を飲みな
がら品評会、盛り上がりました。

いまパチスロの会社の仕事をしています。以前芸能プロダクションの仕事を
したことがあり、芸能人の「芸能ライフサイクル」をマネジメントする仕組
みを作ったことがありました。それ以来の異分野の仕事です。
パチスロのプロだといわれている人にパチスロに連れていってもらい、70
00円投資?の経験をしました。全神経を開いてチャレンジしなければ、い
まどんな状況にあるのかの判断が出来ずくたびれました。しかし、賭事の熱
狂感を少しですが感じ、パチスロは受動的で能動的、そのミックスがおもし
ろいのでは。マーケティングに対しては特別な異界感はありません。むしろ
刺激的でおもしろい。熱狂のマーケティングをぜひ追求したいと思っていま
す。私は車の免許がないのに車、カーオーディオのマーケティングの仕事を
しています。

15日(日)東京都の現代美術館の、「舟越桂展」に行って来ました。「森
から来たささやき」をテーマに、木彫による人物の像の彫刻展です。男でも
なく女でもなく「無性性感」を感じ、この人達は絶対戦わない、静かさを持
っていると感じました。なにか人の心を引き込み浄める、浄化の彫刻でした。
時代を超えた魅力を持っていますが、いまの時代は特に心に響きます。時々
心に響く出会いをしないと鈍感になってきてしまいます。気をつけなければ。
27日(金)「行こうよ」で20年ぶりの浅川マキのコンサートに行って来
ました。総勢3人の少人数でしたが、私以外にもファンがいてよかった。ジ
ャズと、シャンソンと演歌のミックスした独特の歌です。昔の歌が聴きたい
なと思っていましたが、聞けずじまい。やっぱり昔に行ってしまう私があり
ました。浅川マキの古い曲を聴く会をしたいな。

29日(日)は企業の遊び人(びと)に誘われてインラインスケートへ行く。
私でも滑れるんです。スーイスーイとは行かずスイスイですが。昔スケート
をやっていたことがあり、体は正直で覚えていくれています。脳より体の方
が記憶をしているのでは。体が個性を創っていくのだとの実感。
電車の中で何を書こうかメモして、原稿にしています。電車の中は雑多な考
えがでてきて、メモをつくるには最適です。 
             日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

■『スイス時計の高付加価値化』
★解  説
  輸出単価は日本の9倍。スイス時計は、優秀な、部品を調整しな
 がら腕時計を組み立てる熟練工「ウオッチメーカー」を何人抱えて
 いるかで競争力が決まってくる。モノ作りへのこだわり。ブランド
 イメージの再構築、原点回帰(機械式駆動装置への回帰)して歴史
 という資産をいかに再生するか、3000メートルの深海で使える
 機械式時計、過剰な品質開発が技術力を高める。時計の表面に加わ
 る力は約35トン、深海潜水艇並みの防水性能。時速150キロし
 か出せない車と、時速300キロ出せる車が、時速120キロでは
 走ったときの感覚はあきらかに違う。フェラーリの車体構造を応用
 すれば小型車でも安定して時速120キロで走れる。最近のスイス
 時計の活況は、常に新しい技術を追い求めた結果。
 スイス時計産業の強みは高い技術を積み重ねた伝統だ。値下げ競争
 を続けていると、消費者は製品に敬意を示さなくなる。価格競争は、
 自分が座っている木の枝を切り落とすような自殺行為だ。価格主導
 で需要喚起ができるのは再低価格だけ。しかもその価格では利益を
 出すことが出来ない。スウォッチグループが多くのブランドを持っ
 ているのは一つのブランドでは多様な価格帯の製品が売れないから。
                     日経産業020918 
★ミネラル
  文化的価値で独自化を図って成功した事例です。これからは嗜好
 品が魅力になります。バランスを崩す、過少品質化、過剰品質化、
 などの嗜好品化のノウハウを獲得しなければ。獲得して下さい。 
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■『注目率の高いのは』
★解  説
 注目率の高いのは、過去の記憶(過去の経験)とアナロジーとニュース。
★ミネラル
 過去の楽しい経験に、新しいラベルを付けて訴求するとおもしろ
 いのでは。縁日、幼稚園、小学校、運動会、などいろいろ。コンフ
 ォートの商品開発が受けています。
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■『情緒的ニーズ』
★解  説
 情緒的ニーズには、帰属へのあこがれ、結びつきへの欲求、超越
 への願望、喜びや満足への欲望など、より強力で微妙で、複雑な動
 機が含まれる。
★ミネラル
 情緒的価値開発が重要です。社会の中で自分はどんなポジション
 でありたいか、どのような自己実現を望んでいるか、そんな願望を
 発見し、提案する。あなたはどんな自分を求めていますか。まず自
 分から考えてみましょう。
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■『イノベーションの一例』
★解  説
 大リーグのクリーブランド・インディアンズは長く弱小球団だっ
 た。しかし、陰気だった球場を明るく楽しめる場所に改装しただけ
 で、選手も首脳陣も変えなかったのに翌年優勝した。選手がプレー
 する喜びを思い出したからといわれている。日経be020907  
★ミネラル
 日本オリエンテーションは文京区の住宅街の中のコートハウスです。
 3階建てで2階が吹き抜けになっています。会社ではなく事務所です。
 仕事を楽しむ空間にしたいと思っています。楽しみづくりがイノベー
 ションになるなんてステキですね。
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■『モジュール化』
★解  説
  部品メーカーが運転席やドアまで組み立て、完成車メーカーに納
 める生産手法(モジュール化)は、欧米を中心に世界の自動車業界
 で広がってきている。ダイムラークライスラーがスイスの時計ブラ
 ンド、スウォッチなどと協力して開発した超小型車「スマート」は、
 エンジンやドア、運転席など7つのモジュールで車体の9割が完成
 する。
 「高品質のモジュールを提供するには、買収や提携で自社にない製
 品や技術を取り込む必要も出てくる」マイケル・ジョンストン(ビ
 ステオン社長)
 ただ、モジュール化は完成車メーカーにとって『ブラックボックス』
 を抱えることになる危険性もある。さらに協力工場の選定から設計、
 開発まで部品メーカーの関与が強まれば、完成車メーカーの技術が
 細るおそれがある。マイクロソフトやインテルがパソコンの主役に
 なったように「将来、主導権を握るのはトヨタやGMではなく、ボ
 ッシュやデルファイ、デンソーなのかもしれない」─トヨタの奥田
 会長の心配が現実にならない保証はない。  2001.7.1 朝日新聞
★ミネラル
  消費者に対して生活ソリューションの「モジュール」を提供する
 ことがこれからの企業の商品開発では。いままでの商品という部品
 を「モジュール」化してみるとどんな商品になるか。イメージを膨
 らませてみて下さい。

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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第91号 (2003/7/1) (c) 1999 Japan Orientation
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