配信日:2003年11月18日
第100号
マツモト・ミネラルが100号になりました。
私の貯めていたメモをもとに断片・分節化された情報を投げ込んできました。
まだ5年分ぐらいはあるので、今後もお付き合い下さい。100号記念に何かし
ようと考えたのですが、生来の怠け者で、いつものような100号です。
毎日いろいろありました。いいことが多いです。
11月になると今年も後わずかという気がします。まだ2ヶ月もあるというのに。
この2週間もいろいろありました。いろいろな人と出会い、感じることの多い
2週間でした。
10月31日から11月6日まで、ベトナム縦断に行って来ました。仕事の予定を
変更して企業の方にご迷惑をかけました。
ベトナムは青春まっ盛りでした。それと比べて日本は青春の終焉を感じます。
A社のYさんの案内で、ホーチミンのマーケットを見てみました。ベトナムマ
ーケットはこれからで、月200ドル社会にいつなるのか、流通の整備がどう進
むかがポイントでは。10分かけてつくるベトナムコーヒー、フランス文化を
反映した屋台のフランスパンは絶品でした。Yさんありがとうございました。
これからは地政学的にアジアの時代では。
ベトナムでは世界遺産を3つ見て、触ってきました。
ハノイ近くのハロン湾、世界遺産に指定された2000近くの奇岩。ベトナム戦争
時その奇岩の中に武器などを隠したそうです。
中部のフェ。グエン朝王宮1802年から1945年 まで13代にわたったグエン朝の
王宮、アメリカの攻撃の跡が残っていました。
ホイアン。チャンバ王国時代からの東西交易の地、チャンバ王国の聖地「ミー
ソン遺跡」はシヴァ神(ヒンドゥー教の破壊と創造の象徴)を祭った場所で、
フランス人の研究者に発見、ベトナム戦争時にアメリカ軍の爆撃で破壊され、
現在修復中。
フランスは文化を残すが、アメリカは破壊の国。アメリカは今も破壊を続けて
います。残念。
7日(金)仕事開始。1日中社内打ち合わせ、10日から14日のコンサルティング
の仕事打ち合わせ。
10日(月)企業と商品コンセプト開発に関する企画仕事の打ち合わせ。
健康アカデミックマーケティングとコンセプト開発の連動性が成功のポイント
になるのでは。
夜、コンサルティングを8年ほどしていたT社を退職していたNさんと話し合い、
トヨタの危機意識と打開のための継続的改革の凄さ、国際的な経済を動かして
いる「根」について話を感心して聞く。私からは「文明から文化」への時代の
動きについて話をする。
11日(火)企業の広域営業の企画開発責任者の方と話を。消費者から見ると、
商品がコモディティ化しているのに、まだ本社の開発担当者は旧のマス・夢開
発をしている。特にコンビニエンスの店頭ではその矛盾が顕著になっているの
では。
午後、コンサルティング、戦略ドメインの構築最終回。選択集中をどう明確・
徹底化するかが課題。まとめへ。
12日(水)午前コンサルティングを始める企業の方と打ち合わせ。
市場を創造する新商品を開発すること、そのために顧客視点から時代・市場・
生活価値観の変化を引き抜く方法の開発をコンサルティングすること。目的を
明確化。
午後、15年前にセミナーに参加していただいたトイレタリーメーカーの事業部
部長に会う。当時主任部員でひさかたぶりでしたが、重要な責任者になってい
ました。私は日本オリエンテーション代表のままです。
トップシェアーを維持した中で発展していくのにはカテゴリーの概念を思い切
って拡大することが重要であると感じました。
夜、菓子メーカーの社長にお会いしました。10数年前にセミナーに参加され、
開発部門の建て直しのコンサルティングをした企業です。企業を好循環のサイ
クルに転換させるときのリーダーの重要性を肌で感じました。
13日(木)コンサルティングの仕事。魅力市場の発見とターゲット開発。市場
をよく見ているといろいろなイメージがわき、市場が浮き彫りになってくると
力説。
14日(大阪)コンサルティング。ヒントからそのヒントを魅力化するため上位
の概念へ高める上方展開の方法から新しい魅力が発見できそう。
15日(土)ルネッサンスジェネレーション03「リアリティ・ザッピング:同時
多発TV」のシンポジウムを聞きに行く。
リアルとは確からしさであるという話。イラクなどの国際情勢はインターネッ
トのいろいろ雑多な情報を、興味をもとにザッピングすることの方が現場に行
って事実を見ることより見えてくるのでは。存在するかしないかわからない他
者の心を感じ、理解することが、人特有な能力である。「実在」とは「見えて
いないのに見えている」知覚が重要。また主観的経験としての「クオリア」が
大事になるのでは。
ひとつの事実(リアル)があるのではなく、多様な事実がある。その事実の何
に共感するのかの出会いが大事では。
いろいろ示唆に富んだシンポジウムでした。下條信輔さん、タナカノリユキさん、
その他の講師に感謝。
19日に新ホームページが立ち上がります。
デザイナーの菱沼さんと日本オリエンテーションのHP担当時任さんと、事務所
みんなでの共作です。仮説・思考・錯誤の連続でした。
毎日、毎週、毎月みなさんが見に来られるようにつくりました。何か気づきが
あればご意見をお願いします。
楽しい2週間でした。しかし疲れた2週間でした。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
■『分かることは苦労すること』
★解 説
「今の人は、文字やテープに頼って自分の記憶の力を使わないで
しょう。記憶するっていうのは、過去を呼び覚ます力で、それが人
間の知恵だ。でも、今日の日本人は、文字に頼り、本に頼り、テレ
ビに頼り、自分の精神を働かさないんだな。だから、実にものをよ
く知っているけれど、知恵はちっともない」
「手っとり早く、苦労せずにわかりたいというのは、現代の病気だ
よ。分かるってことは苦労ということとおんなじだよ」。
2001.5.14 読売新聞 小林秀雄の時代(上)
★ミネラル
苦労しているけれど、なかなかわからない。しかしわからなくて
もいいのでは。触って感じて、感じたことを内化していけば、少し
はまともな判断が出来るようになるのでは。インターネットの便利
さに負けてはいけないのでは。
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■『キャノンの経営5原則』
★解 説
1.経営は理念主導型でなければならない。
2.時代の流れをつくるものでなければならない。
3.分かりやすいものでなければならない。
4.経営はトリヴィアル(つまらない、さ細な)なものであってはな
らない。
5.美しい体系でなければならない。
★ミネラル
理念と美の融合が次の世界、社会をつくる原動力になるのでは。
素晴らしい経営5原則だと思います。数学は美しくなければと言わ
れていますが、美の感性をどう磨くか。これからの課題です。
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■『90年代子ども達の生存様式』
★解 説
浜崎あゆみの歌い言葉を書き言葉に戻すと、極めて古風で感傷的
です。この、外見がもたらすイメージと、内面を表す詞との落差の
極端な大きさが、90年代の子ども達が身につけた生存様式そのもの
ではないか。若者が自分のホンネや素顔を人々の前で惜しみなくさ
らした時代がかつてあった。「明るい仮面は閉塞した時代の抑圧か
ら自分を守るための無意識に身につけた防御機構としての仮面」。
浜崎あゆみの表現している劇的な落差こそ、今の時代の子供や若者
にとって、最もリアルな生の形ではないか。
(藤原新也「ポスターで新アイドル論」朝日新聞2000.12.4)
★ミネラル
青春とは裸になれることでは。裸になったときの開放感を忘れて
しまっている。ベトナムの子供には防御としての顔はなかった。不
透明な輪郭にぶざまでもよいから自分なりの輪郭をつくらなければ。
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■『20世紀は「大衆化の世紀」』
★解 説
20世紀は大衆化の世紀。今世紀の大衆化現象には一つの特徴があ
る。それは時間と空間の置き換えと言うこと。あるいは時間に対す
る空間の優位。大量生産は大量輸送と不可分。限りなく素早く移動
させるもので、そうすることによって場所による差異化を縮小し、
どこでも同じ様な生活スタイルを確保できるようになった特定の場
所(ローカリティー)のもつ制約から人々を解放し、空間を均質化
し、しかもその空間を無限に拡張してゆこうとする運動、それが、
今世紀の大衆化であった。他方空間の拡張と瞬間移動のおかげで、
我々は極めて忙しく、めまぐるしい時代を経験している。その結果、
人は常に落ち着かず、むき出しの「今」の中で他人のやることだけ
が気になって仕方がないのである。「ただいまのこと」にしか関心
を失った現代人に解放された時間が復讐しているのではないか。
佐伯啓思(読売新聞2000.11.8夕刊)
★ミネラル
時間が無くなり、空間から独自性が消えてきている。田舎も郊外
も都市もみな同じ顔を持っている。ホッとする人間の空間が無くな
っている。豊かさとは均一化なのか。独自な空間づくりが大切では。
時間を取り戻すことが多様を生むことでは。「モモ」をもう一度読
み直したいと思っています。
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■『悠々として急げ』
★解 説
開高健さんがよく使う言葉の中で特に印象深かったのが、「悠々
として急げ」です。古代ローマの皇帝アウグストゥスが言った言葉
とも聞きました。今の時代はただでさえ忙しい。しかし、悠々と、
ゆっくりものを考える時間も持たないといけない。これは二十一世
紀にもぴったりの言葉だと思います。
佐治信忠(サントリー社長)2001.9.3 日経新聞
★ミネラル
私の好きな言葉です。しかし実践するとなかなか上手くいかない。
しかし心に留めている言葉です。
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■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第100号 (2003/11/18) (c) 1999 Japan Orientation
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