配信日:2003年12月11日
第102号
時代の変化が早いと実感した2003年でした。
変化が激しい時代だから、不易流行の「不易」を考えてみることがだいじな
一年だったのでは。人間は他の生命を奪ってはいけないというモラルの「不
易」、「歴史」の重要性の「不易」。「歴史」を忘れた社会は、新しくない
のに新しいと錯覚し、幼稚な社会になってしまう。また「基本」という「不
易」を失うと、事実に真っ向から対応できず、現実を直視できなくなる。
2004年は「不易流行」を考えていきたいと思っています。
2003年マツモト・ミネラル120のキーワードです。
何かの出会いが出来るといいなと思っています。本文は新ホームページ
http://www.jorien.com/jkwb.html になっています。退屈な時にのぞい
てみて下さい。
「日野啓三」「身体文化」「宮崎ファンタジー」「浮遊する『わたし』と実
在する『わたし』」「生命倫理研究所」「ゼロ感覚」「浸透する関西文化」
「カオス」「おいしさの要因」「グローバルヒストリーの時代」「ナンバー
ワン戦略」「独自性開発」「マイメジャー」「日本的カッコよさ」「文化環
境の創出」「マルチタスク」「会社がプラットフォームを提供」「出会い系
サイト」「新しい価値を消費する時代」
「進化医学」「極・単な時代」「百貨店系スーパー」「ハッピーソリューシ
ョン部」「常識捨て変革に挑め」「情報シャワー社会の発想」「オノマトペ
の力」「ファーストミート」「非顧客の重要性」「物語の生まれるトワイラ
イトゾーン」「『情報の過剰』が『出来事の過剰』を生み出す」「魅力とは」
「進歩から発展へ」「アイデンティティ」「知性、理性、勘」「創発」「言
葉の力」「こだわりと謙虚」「問いのたてかた」
「プロデューサー」「21世紀に人間は改めて鍛え直さなければ」「購買促進」
「使い方の提案」「食事の時間」「口コミ」「道具や装置のスペクタル」
「情報ラマダン」「関心の低い商品に注目させる方法」「成功するコンテン
ツとは」「カテゴリー・セグメント」「植物の不思議」「漸進主義はイノベ
ーションの最大な敵」「クレオール化」「成功の条件」「日本の女性の変化」
「男と女」「職人」「ペットに見る心・社会」「教育」
「成功体験は足かせに」「価値」「記憶」「セルフヘルプ市場」「これから
の創造的産業とは」「涙と日本人」「時熟」「スイス時計の高付加価値化」
「注目率の高いのは」「情緒的ニーズ」「イノベーションの一例」「モジュ
ール化」「非=物質化、脱=物質化」「スローライフ」「無印良品のMD」
「競争回避戦略を」「デザイン革新」「満足順位」「選択できる多様性を」
「チェンジリーダー」「文化的商品」「価格」
「ベストショット」「『医療的』な衣料や雑貨」「色の機能」「若者フアッ
ション」「土の魅力」「金利を上げ、マネーを呼び戻せ」「江戸の成熟性」
「団塊世代コーホート分析」「コンピブーム」「キャノンの戦略」「アーキ
テクチャ」「世界の先住民族の文化」「成長、成熟、衰退産業」「文化とは」
「1.5の時代」「クローン」「心の敗戦」「共生」「70年代ブームさらに拡が
る」「微分の時代」「6つの生活価値観」
「P&Gの洗濯用洗剤ブランド戦略」「少子高齢化」「ブランドとは」「『らし
さ』を失う時代」「ひらめきの直感」「個性化、特徴化戦略マトリックス」
「生活リーダー」「『で』と『が』」「羽生善治の思考」「分かることは苦
労すること」「キャノンの経営5原則」「90年代子ども達の生存様式」「20
世紀は『大衆化の世紀』」「悠々として急げ」「『わかる』2」「新しい『
ヒエラルキー』」「モノクロ映画」
「ストック・リノベート・ソリューション」「イタリアのビジネスモデル」
「『時代遅れ』を尊ぶ時代」「無痛文明」「ユートピアの再来は」「『落ち
着き』の魅力」「『触れる』効用」
今年最後のMATSUMOTO・MINERALです。ありがとうございました。
2004年1月6日(火)が初荷です。
日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『「時代遅れ」を尊ぶ時代』
★解 説
寅さんはどんな男かと言うと時代遅れの男だ。「進歩、発展イコ
ール善」ということへの疑問の表れではないか。「男はつらいよ」
の1作の頃は、寅さんは風俗的にそんな時代遅れではなかった。
10作目くらいから急速に時代遅れになった。世の中の変わり方が早
すぎた。5作目のころ「この国が、このまま突っ走ってどうなるの
か。風景や暮らしが変わるのはこのぐらいにしてほしい。でないと
寅さん映画を撮影できなくなる」山田洋次監督2002.06.26朝日新聞
KW:時代遅れ
★ミネラル
「時代遅れ」になかなかなれない。怖くて怖くて、とてもなれな
い。「時代遅れ」を笑うことは出来る。しかし、先端にもなれない。
速くでもなく、遅くでもなく、自分速度が見つかるといいのに。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『無痛文明』
★解 説
現代文明は「痛み」の意義を否定している。無痛文明は快楽をひ
たすら求め、痛みを退ける。安定した状態を決して崩そうとしない。
例えば出生前診断で障害があるとわかった子供を中絶するのは当た
り前。後ろめたさなどないとそそのかす。確かに安楽かもしれない。
しかし、そこには「自分の人生を生ききる」喜びはないのではない
か。 読売新聞 森岡正博 KW:時代、欲望
★ミネラル
16日の日曜日に森岡さんの451ページの大冊「無痛文明論」を買い、
読み始めました。「痛み」を回避する、ただ快楽を求める社会は正
常なのか。快に対して喜びを、「生命」を通して新しい「人間学」
を提唱しているこの本を「痛み」を感じながらトライです。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『ユートピアの再来は』
★解 説
ユートピアはギリシャ語で「どこにもない場所」。「大きな問題を
集団で考えていく力が衰退している時代。しかし人間が文字を書い
たり想像したりする動物である限り、21世紀にも必ずユートピアが
求められる」。いま「希望の喪失」状況。このことが世界を不安定(幻
滅と不信)にしている。 (「ユートピスチィクス」藤原書店)
KW:ユートピア
★ミネラル
現在は大きなユートピア論が描きにくい時代である。「ユートピ
ア」に代わって、一人一人の幸せ・健康が現在の人生テーマである。
この小さな幸せ論が行き詰まったときに、「ユートピア」という魔
物が生まれるのでは。 「ユートピア論」には気をつけましょう。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『「落ち着き」の魅力』
★解 説
大人文化の魅力は「落ち着き」です。栄華の時代がとうに去った
ポルトガルには「今日より良い明日はない」という言葉がある。穏
やかな現状が緩やかに衰えていく。これこそが大人の感覚です。こ
の感覚を持って、はじめて暮らしの細部を愛する発想が生まれてく
る。2002.3.25 朝日新聞 玉村豊男(エッセイスト) KW:大人
★ミネラル
「今日」そして「今」をだいじにする感覚。穏やかに衰えていく
ことを愛おしむ、そんな感覚の大人になりたいと思っています。
・・・‥‥……………‥・・‥…………………‥‥・・
■『「触れる」効用』
★解 説
触れる行為にはさする、ふく、マッサージなどがある。
米国では触れる効果を実証する研究が進んでいる。
ひとつが生理学の側面。看護士が患者の額に手をおくと、その皮膚
刺激が痛み以外の感覚を生み、その皮膚刺激が痛みを和らげる。背
中をなでると、全身の緊張が解ける。手を取ると、不安が軽減され
る。
もうひとつが心理的側面で、触れることがコミュニケーションを促
進する。言葉での会話が出来にくい重症患者の手首に優しく触れ、
特定の質問をするとき軽く押さえると、より理解度が増すという実
験結果がある。 日本タッチケア研究会03-3721-1695
KW:タッチ、触る、感覚
★ミネラル
「タッチ」の時代です。身体感覚の希薄が不安感を生んでいます。
「触れる」ということに日本人は不得意なのかもしれません。介護
の場からでも、育児の場からでも触れるチャンスがあったら触れて
みましょう。くれぐれも痴漢はしないよ
・■■■………………………………………………………………………‥‥・・
■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第102号 (2003/12/16) (c) 1999 Japan Orientation
・・‥‥………………………………………………………………………‥‥・・