1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第104号

配信日:2004年01月20日

第104号
『理念型企業』『顧客間インタラクション(相互作用)』『「ヒーロー」から「アイドル」へ』他


月日
毎年月日の立つのが早く感じるようになってもう十数年になります。
今年もすでに1月20日です。 毎年月日が早く感じられるのは、毎日が新鮮でな
かったり、感動がなかったり、チャレンジが無くなったりしていることと関係
があるのでは。
気をつけなければ。

守りから攻めへ
2003年の後半から2004年の新年にかけて、企業の経営姿勢がだいぶ変わった実
感を持っています。今までのリストラによる経営分母の最小化に対して、分子
の拡大化へ大きく変わった実感がしています。いろいろな企業からこれからの
提案型商品・新規事業の課題が持ち込まれています。
共通している課題は、既存市場での差別化によるマーケットシェアのアップで
はなくて、新しいマーケット、カテゴリーを開発し、需要を創造するテーマに
集約されています。
おもしろくなりそうです。

「車座塾」
昨年は箱根で「健康車座塾」を開催しました。今年は年に4回ほど「商品開発
車座塾」を開催したいと考えています。「車座塾」を、非日常的空間、風土の
中で、参加者みんなが「開いて」考え、話をし、交感、共感する「場」にした
いと考えています。
早春の3月に開催を計画しています。楽しみにして下さい。  
                  日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

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■『理念型企業』
   ★解  説
      アメリカ・バーモント州のアイスクリームメーカー「ベン&ジェ
     リー」社。企業の第一義を利益の追求に置かず、社会的意義、自分
     たちの会社は社会にどんな貢献が出来るのか、社会的役割は何なの
     かを追求する企業。1997年の売上高は1億7400万ドル、世界的ブラン
     ドに成長。格別に安いわけでも、格別においしいわけでもない。な
     ぜ消費者が買い続けるのかは、容器一つ一つに、マニフェスト、宣
     言文が書いてある。「私たちはバーモント州生まれのアイスクリー
     ムメーカーだ、バーモント州の零細な酪農家以外から原料は買いま
     せん」。消費者はそうした中産階級とか自立農家がいなくなればア
     メリカ民主主義が空洞化してしまう。それは困る。そう自覚した消
     費者が「決意させるマーケット」を自発的に形成し始めた。
     マニフェスト、宣言文には3つのミッション、使命を企業として果た
     したい。
     1.「プロダクション・ミッション=商品の使命」
     自分たちの商品については絶対の責任を持ちたい。正真正銘100%の
     無添加天然素材を届け続ける。
     2.「ソーシャル・ミッション=社会的使命」
     それは人々がよりよく生きていくために、あるいはそう望む人々を
     支援したい。現に彼らは、バーモント州の地域社会で零細な酪農家
     達を支援する、という社会的使命を果たすために生まれた。
     3.「エコノミック・ミッション=経済的使命」
     まず従業員に報いたい。私たちは将来のためにきちんとした研究も
     したい。だから適正な値段、価値に相応した対価を払って下さい。
     それに対して自覚的消費者が、心から納得し、あるいは積極的に運
     動に関わりたい意志の発露として、喜んで対価を支払う。買い物と
     いう人間の喜びを満たすことができる。
             「もう一つの日本は可能だ」内橋克人(光文社) 
   ★ミネラル
      理念型企業、自覚的消費者、参加型消費がキーワードです。深く
     考えてみたいですね。内橋克人氏と加島祥造氏の本は参考になるの
     では。 
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■『顧客間インタラクション(相互作用)』
   ★解  説
      広告の一方的情報伝達と違って、ITは企業(売り手)とユーザー
     (買い手)の双方の対話を可能にする。企業を蚊帳の外において、
     ユーザー同士が会話をする世界。ユーザーの対話が新たな価値を創
     る。それは商品やサービスを語る「個人の肉声」を、買い手たる消
     費者が重視している。企業が組織として語る言葉には、人間味が感
     じられない。実は「誰もいない」。これに対して、個人の肉声には、
     逃げることが許されない「一人称」があり、主張がある。責任の所
     在のあいまいな「企業」ではなく、一人称としての「私」として話
     さなければ、ユーザーに向き合えない時代。
                      KW;IT、コミュニケーション   
  
   ★ミネラル
      双方向のコミュニケーションの重要性が高まっています。しかし
     「新たな価値を創造する」コミュニケーションの形が見えてきてい
     ません。プログなどの個人的日記の世界が力を持ち出してきていま
     すが、これからどうなるのか興味があります。
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■『「ヒーロー」から「アイドル」へ』
   ★解  説
     ・日本では美空ひばり以後、仰ぎ見るスターはいない。大衆が見下
     ろして頭をなでるアイドルがいるだけです。「一斉に右へならえ」
     の趣味を持ち得なくなって、それぞれに「私の好きな人」がいるう
     えに、それも変わりやすい。政治というものは、こういう時代の流
     れに矛盾する本質的構造を持っている。なぜなら政権はひとつであ
     り、国民世論に応じて同時にいくつもつくるわけにはいかないから
     です。
     ・個人の帰属感が、この10年間で相当緩みました。家族や職場の組
     織が流動化した中で、何か大きな流れに属したい、という願望が強
     まっています。
      山崎正和(劇作家・評論家)84%の風景「小泉現象」を読み解く
                         2001.5.29 朝日新聞 

   ★ミネラル
      流れが一斉に変わる可能性が高くなっています。なにか大きな流
     れに属したいという意識が生じてきている感じがします。一人一人
     が多様な生き方をする時代だといわれてきましたが、?の匂いがし
     ます。流されることがないよう気をつけなければ。
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■『大学時代?現代』
   ★解  説
      受験を「定年退職」して、就職という<死>を迎えるまでの<余
     生>の時代が大学時代では。今の若い人に見える「見えちゃってい
     る」「何かが済んだ」「もう若くないんだから」といったつぶやき
     は、深く、すさまじいところがある。<じぶん>というものの構造
     疲労、そしてそれが思春期に、もっとも突出したかたちで出ている。
     いい子をしている生徒は、自分感情すら着脱可能な服のように感じ
     る。そして社会の感情規則に、上っつらだけ迎合している自分を否
     定し、暴力や超自然といった、社会が否定している「異常」なもの
     に「ほんとう」を見るようになる。          石川准氏  
   ★ミネラル
      仕事には「ライフワーク」と「ライスワーク」があります。この
     バランスが崩れてしまっていることが問題です。「損・得」の軸よ
     り「好き・嫌い」の軸を大事にしたいと思っていますが、なかなか
     思うようにはいきません。仕事に「想い」を持つことが重要では。
     1月20日の日経新聞の記事に「生きるために働く必要がなくなった
     とき、人は人生の目的を真剣に考えなければならなくなる」(経済
     学者ケインズの言葉)。人生の目的を考える時代です。
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■『淡白な感性』
   ★解  説
      写真誌「フォーカス」のドロドロギトギトした誌面は、コンビニ
     世代の淡白な感性には馴染まない。そしてこの雑誌はそのようなド
     ロドロの人間関係という、「濃い」情報にリアリティーと価値を感
     じてきた世代によって主導されてきたといえる。
     あらゆるメディアがカラーであった世代にモノクロで世界を感じ、
     表現しようとするビジョンもノスタルジーも存在しないのである。
     またマグナム(報道写真家の集団)の写真が表しているように、事
     物を象徴化して見せるモノクロ写真は「大論」に結びつきやすいと
     いう性格がある。誤解を恐れずに言えば、自己慰撫写真に傾倒する
     新世代のカメラっ子たちはそういった大論とは無縁の、自分のテリ
     トリーの外に希望を見出せない、広義の意味のヒキコモリなのだ。
              藤原新也(作家・写真家)2001.8.7 朝日新聞
   ★ミネラル
      「きれい」が時代の意識です。しかし本来の動物としての人間的
     な感覚から離れている感じがしています。ドロドロした感覚、濃い
     感覚、そんなエロスが、いきいきしてこないと衰退がどんどん進む
     のでは。「エロス」の提案を。
              
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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第104号 (2004/1/20) (c) 1999 Japan Orientation
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