1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第111号

配信日:2004年05月11日

第111号
『自己の存在は妄想である』『禁欲の贅沢』『食における口腔の感触』『キラキラ輝く=美しい』


マーケティングの職人へ
元花王の経営者、常磐文克さんの「モノづくりのこころ」を読んでいましたら、
「人の力が最大限に発揮されるモノづくりの仕組みとは何か。私はそれこそ
職人の生き方と仕事ぶりにそのモデルがあるのではないか、と考えている。
職人の世界は、つくる「モノ」と「ヒト」の人生が重なり合っている。」と、
いろいろ職人の仕事について述べています。
マーケティングの仕事を30年やってきましたが、目指していたのはマーケティ
ング職人でした。「得」をするからこの仕事を選んだ訳ではなく、30年前は
まだマーケティングという概念、仕事が確立されてはいませんでした。
たまたま読んだ「セールスマンの死」、J・Aハワードの「マーケティング・
マネージメント」がおもしろく、「好き」がこの仕事をやるきっかけでした。
「好き」だから長くやってこれたのでは。「好き」だから一生懸命やれるのでは、
そして職人になれるのでは。まだまだ職人の精進しなければ。

韓国へ

4月29日から5月3日、ソウルへ行って来ました。
「松本さんが死んだときはどんな仕事があっても行きますから」と言われ、
なんだか変なお誘いでしたが、韓国でコンサルタントをしている友人の娘さんの
結婚式に参列しました。
韓国の結婚式はどんなものかと興味もありました。教会での結婚式と、
チマチョゴリを着た地方の親族など、多数の人たちが立食バイキングで
飲み食べをして楽しんでいたのが印象的。日本よりオープンでカジュアルです。

ソウルで大変な食経験をしました。
魚のエイを発酵させた刺身状で、コチュジャンとキムチを和えて食べるもの
でしたが、その独特の臭さに、どんなものでも食べられる私が降参、3切れ食
べてダウン、翌日の夜まで発酵の臭みが胃の中に残り食欲がわきませんでした。
今度は韓国の田舎のお寺を訪ねてみたいと思っています。

マイ・カレンダー

4月21日(水) セミナー。ニーズ開発について6時間の講演。変化を引き抜く構え
と力について話をする。 22日(木) 商品開発カウンセリング。宣伝・広告に変
わって広報が大事だといろいろな仕掛けを考える。 23日(金)「商品開発センス
メーキング」プランの話し合い。 24日(土) 企業の人と東松山へ恒例のタケノコ
掘りへ。 26日(月) コンサルティング。体調が悪かったことと、アシスタントの
役割だったのでちょっと居眠りをしてしまいました。失礼しました。


27日(火) 大阪へ。商品コンセプトのブラッシュアップ。 28日(水) M社のT部長
に会う。仕事の話と酒の話。 29日(木) ソウルへ。 5月3日(月) 羽田に。

4・5日は休養。 6日(木) 食品メーカーの社長に会う。日頃の持論、生活DELIGHT
やみつき研究などの話をしました。

7日(金) 企業へコンサルティング。 9日(日) 秩父へ知り合いの人の「和紙の
個展」を見に行き、秩父が気に入り、今度は「秩父車座塾」をしたい。

10日(月) コンサルティングへ。夜、日本オリエンテーション客員研究員のOさん
と飲む。やみつき研究の話。11日(火) Oさん、Tさんと「感性品質開発」の話。
今から世田谷の都市型スーパー探検へ行きます。

                日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

■『自己の存在は妄想である』
★解  説
   「物質→生命」への壁はDNAで破られることによって、物理学が
  花形の20世紀に変わり、21世紀は人間を含めて生命の操作もできる、
  絢爛たる生物学(生命)の世紀といわれるようになった。では、
  精神(心、欲望)にはいる鍵はどこにあるのか?未だ見つからない
  ただ入るのを遮る固い壁は“自己の存在”という妄想ではないかと
  思うようになってきた。鍵なんて元々存在しないんだ。そこで「自
  己は存在しない」という仮説を立てることにした。自己が存在しな
  い虚構であることを、もし自然科学が証明したら、私たちは全く新
  しい世界に入れるのに、と思う。
            渡辺格 慶応大学名誉教授2003.2.24朝日新聞

★ミネラル
   「自己は存在しない」という発想がおもしろいですね。自己があ
  ると思うから囚われてしまうのでは。自己よ無くなれ。しかし無く
  なったらどうなるのでしょうか。
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■『禁欲の贅沢』
★解  説
   西洋ブーケみたいに花を山ほど束ねるのではなく、一輪の贅沢さ
  が素晴らしい。また、大きなお皿に3切れの刺身を美しく盛ってあ
  るほうが、300グラムのステーキとポテトでたっぷり盛ってあるお皿
  より魅力的。 

★ミネラル
   過剰の時代は禁欲も魅力になります。日本の文化的価値を見直し
  てみませんか。
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■『食における口腔の感触』
★解  説
   竹の子、たくわん、こんぶ、するめなど歯ごたえの妙味。宮崎の
  地鶏のもも焼きは顎の筋肉の発達。とろろ芋やジュンサイ、豆腐は
  のどごし。うどんはのどごしと歯ごたえ。     作家 島田雅彦

★ミネラル
   触覚の時代です。目で触る、音に触れる、五感で触ってみること
  が新しい気づきをつくるのでは。
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■『キラキラ輝く=美しい』
★解  説
   「光を放つもの」は美しい。金や銀や宝石、太陽や月や星を美し
  いと思うのも、街の灯が輝く夜景を美しいと思うのも、それが「光
  るもの」だからです。「光るもの」を美しいと思うのは、人が自分
  から光を放つようなものではないからでしょう。恋をしたとき、人
  は恋人の中に「輝き」を見る。
      橋本治「人はなぜ『美しい』がわかるのか」(筑摩新書)
★ミネラル
   光り輝く人間、光り輝く商品とは。光り輝くにはどうしてら良い
  のでしょうか。
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■『「混沌からの秩序」(プゴジン、ノーベル化学賞受賞者)』
★解  説
   変化に対する系の安定性について、「系に少量導入された新成分
  のために、系の成分間に新しい一連の反応が生じる。この新しい一
  連の反応は、以前からの系の機能と競合を始める。もしも系が、こ
  の侵入に関して『構造安定』ならば、新機能は地に着かず、改革者
  は生き延びられない。しかしもし、改革者の増殖速度が十分に速い
  場合、改革者は鎮圧され代わりに系に侵入し、構造の揺らぎが増殖
  する。その時、系全体がこの新機能を採用することになり、系の活
  動は新しい『文法』に支配されることになる」の考えを元に、日本
  はリーダーがビジョンを示し、戦略戦術を立て断固やり抜けば、次
  々に「チョウチョ」が羽ばたき、それが共鳴し合って、好循環が起
  こり、感動を呼ぶ。            北川正恭 2003.3.11

★ミネラル
   揺らぎと不安定をつくることが改革の始まりです。長野県知事の
  田中康夫的人間が中心部に侵入し、チョウチョの羽ばたきを起こす
  ことで、大きなうねりになっていくのでは。改革者の時代です。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第111号 (2004/5/11) (c) 1999 Japan Orientation
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