1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第114号

配信日:2004年06月15日

第114号
『沈黙のセラピー』『2つの情報』『実態を失う若者』『30代独身女性』『単純を求める消費者』


梅雨時の心地よい晴れ間 
高原の夏のような心地よい晴れ間の今日。紫陽花はやはり雨の中が似
合います。ドクダミの花も可憐です。雨時の楽しみでは。

刺激的だった会津車座塾。
第2回「商品開発塾会津車座塾」を5月21日(金)22日(土)、食品、医療
機器、情報機器、自動車機器メーカーの方々7人と、日本オリエンテ
ーション3人の計10人で、会津喜多方の「おさらぎの宿」で開きまし
た。廊下が全面漆塗りで、なかなか落ち着いた雰囲気の中、みなさん
の積極的参加により、楽しく、そして学ぶことが多い車座塾になりま
した。

ディスカッション・ダイジェスト(参加者樋口記)
・「文明から文化へ」
文明的な価値観から文化的な価値観へ時代が変化していることが話
の端々にあがりました。
・「ヒューマンな」
最後に評価をされる企業は、ヒューマンな企業であり、ヒューマン
な事業・商品を提案する企業ではないでしょうか。
・「本質を深める」
ITと共存する時代だからこそ、本質を深めることが大切になってき
ています。
・「あいまいが『らしさ』を生む」
デジタルに要不要が判断できるわけではなく、陰陽・善悪の移り変
わりやグレー部分があることが個性や『らしさ』につながります。
・「モノづくりの原点」
小さい会社の丁寧なモノづくり?それに対してマス生産でライン化
されたモノづくりの矛盾が大きくなっていることは重大な課題です。

10月の紅葉の下で第3回会津車座塾「クリエイティビティーを磨く」を
開催予定です。ご興味ある方にはご案内をお送りします。
お問合せ MailTo:webmaster@jorien.com

マイカレンダー
1日(火) 健康マーケティングセミナーに出席。テーマ「新・健康事業 」。
ポジティブヘルスの健康づくり、仲間づくり、趣味づくりと社交
ダンスの盛況が興味を引いた。統合医療のコンセプトに共感。西洋医
学と代替医療の組み合わせとカスタマイズ(テーラーメイド医療に近
い考え方)。健康はソリューションビジネスです。討議に参加して得
るものが多かった。
2日(水) コンサルティングをしている大阪の企業の人が来社。下打ち
合わせ。自社の強さを生かした独自のマーケットの切り取りが大事だ
と考えを共有。

3日(木) 4日(金)「魅力の開発」セミナー10時間講義。考え方と参加
企業の商品とを絡めてライブ感覚を楽しみました。しかしだんだん
10時間がきつくなってきました。
5日(土) 10時から5時までおもちゃメーカーの社内教育。参加者は少
人数ですが、少人数であればあるほど双方向の楽しさがあります。

7日(月) T社への「事業変革のセンスメーキング」プログラム提案。
夜S大学の心理学教授のHさんと食事をしながら話し合い。「人間学
」を基にマーケティングを考えていくことの重要性について共感。し
かしこれからの「人間学」をどう構築するかが大きな課題として残る。
「古典」研究も一つのアプローチでは。成果あり。
8日(火) パッケージ、ネーミングのネタ探しの店頭探検。夜ITデザイ
ナーと打ち合わせ。

9日(水) K社来社、夜化粧品訪販の社長が来社。6月末で退任すると
のご挨拶にお見えになりました。20年前に化粧品部門の部長でお目に
かかって20年になります。一緒に会食。昔の話とこれからの話に花が
咲きました。
10日(木) 企業2社訪問。健康ビジネスモデルの開発について話す。
カウンセリング型ソリューションのビジネスモデルの開発が必要。業
界の課題など話し合う。

11日(金)はハードスケジュール。4社の企業訪問。コンサルティング
打ち合わせと、社内教育の成果についてと、健康マーケティング商品
開発の提案。そしてこれから始まるコンサルティング打ち合わせとL
社商品開発部長退任の会食。
13日(日)「土・日初回の映画を見に行く」一人行事。「21グラム」を
見るか「下妻物語」を見ようか迷う。疲れていたので「下妻物語」を
見る。マンガチックな少女友情物語。若い女の子と一緒に笑えて、ま
だこんな映画も楽しめる私にびっくり。

14日(月) 社内打ち合わせを含めて、企業の人との打ち合わせ4件。
今日15日(火)は「商品開発プログラムのたて方」セミナー6時間の講
演。

毎朝30分のエアロバイクで汗を流し体力は十分ですが、知力が衰えて
きているのではないかと心配。            
                日本オリエンテーション 主宰 松本勝英

■『沈黙のセラピー』
★解  説
インドのバーラナシという聖地の「平安の館」では、まもなく
死を迎える人が、最後の日々を過ごすための館。横たわって身動
きしない老人の体を静かにさすっている。もう一言も声をかけな
い。深い沈黙があたりを支配している。これこそが究極の看取り
かもしれない。そう思ったとき、沈黙のセラピーという言葉が自
然に口の端にのぼってきた。            山折哲雄

★ミネラル
沈黙とは深い共感なのでは。現在は騒がしい時代です。沈黙の
時間、沈黙の空間の魅力を再発見したいですね。
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■『2つの情報』
★解  説
情報には、極端に減少する情報(天気予報)、あまり変化しな
い情報がある(文学、思想)。情報と知識の区別、情報化はこの
区別を廃棄していく方向で進行している。
        「デジタルを哲学する」(PHP新書)黒崎政男

★ミネラル
情報が知識に、そして知恵にならなくなってきています。生活・
仕事に本当に必要なのは極端に減少するハウツー情報ではなく、
変化しない深い情報=知識、知恵情報では。古典を読まなければ。
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■『実態を失う若者』
★解  説
多くの若者が多元的な自己を生きている。ますます多くの若者
達が、複数の顔を持つ自己一貫しない自己を違和感なく受け入れ
つつある。自分の一貫性とは「場面によってでてくる自分」「家
でおとなしい」「学校でおとなしい」というように、単に場面場
面での整合性にすぎない。「おとなしい」が「本当の自分」かど
うかは問題ではない。「素顔」は限りなく実態を失いつつある。

★ミネラル
場面場面で演じている私がいる。本来の自分が希薄になってい
く。生きている実感がしなくなる。怖いことかも。しかし事実。
私だけの私って何なんだろうか。不安一杯。そんな時代なんだ。
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■『30代独身女性』
★解  説
30代前半の女性達の独身率が高まっている。未婚率は東京都内
で37.8%で3人に1人以上。特に渋谷、中野、杉並など6つの区では
過半数を超える。一般的には30代になると結婚し、ファミリー消
費になると考えられてきたが、独身OLの間では「1人を楽しむ」
「自分を楽しむ」ライフスタイルが定着している。「1人で好きな
時間に好きなことが出来るのがいい」1人で出来る=煩わしくない、
ちょっと高い=子どもと違う贅沢、ゆったり出来る=体力の衰え
は自覚している。
  日経流通新聞(日時不明)「ヒットの現象学」品田英雄氏

★ミネラル
都心の独身女性マーケットはミーイズム・ライフ。他人のこと
で縛られることがない自由ライフ。しかし楽しく淋しい両面性を
持っているのでは。楽しさ提案と淋しさ解消がマーケットでは。
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■『単純を求める消費者』
★解  説
ユーザーは高性能を求めているわけでもなさそうだ。「太鼓の
達人」(ナムコ)は音楽に合わせて太鼓をたたく単純なゲーム。
ソフトと太鼓のセットが約70万個売れた。開発部隊が一人歩きし、
消費者の期待やコストを度外視して開発されている。「技術者は
際限なく技術を追い求めるが、消費者はある水準から変化を感じ
なくなる。ゲームソフトの業界も90年代の自動車業界のように過
剰設計・過剰品質の罠にはまっているのかもしれない」
     (東京大学教授藤本隆宏)日経新聞 2003年6月15日

★ミネラル
競合だけを考えていると過剰競争になってしまう。スピードだ
けを考えていると過剰品質になってしまう。過剰になると消費者
が理解できなくなる。半歩先を行くシンプルな等身的価値の開発
が成功のポイントでは。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第114号 (2004/6/15) (c) 1999 Japan Orientation
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