1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

日本オリエンテーションは、マーケティングをR&Dする事務所です。
考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第115号

配信日:2004年07月06日

第115号
『消費者が求める信頼』『マヤの自然観』『顧客モデルは実在の人物。日産、新車開発に新手法』『グローカル』『もののあわれ』


折り返しの7月です。
2004年の折り返しの7月です。もうであってまだ。
今年の後半をちょっと考えてみる時期では。
梅雨時のお香は精神清涼になります。

★スパーキング再開です
商品開発、マーケティングを生業としている方々と、ハッとした出会
いの場所にしていきたいと思っています。
セミナーなどで語っている「商品開発論」を中心に、これからの商品、
企画、開発のあり方をメモしていきたいと考えています。
毎月2回 第2・4の火曜日に、日本オリエンテーションホームページに
掲載します。本文はHPからお読みください。

★老中を楽しむ
60歳を超えて2年近くになります。60代になると体が楽になるよと言
われ、そんなことがあるのかと疑問に思っていましたが、このごろ楽
になるのだと実感しています。
50代は、意識としての体と、実体としての体にギャップがあって、何
でこんなに疲れるのか、なぜ頑張りが利かないのかと、じりじりして
いましたが、今は意識と実体が合ってきてギャップを感じなくなりま
した。また競う意識が少なくなり、自分の考えを主張したり、説得し
なければという感じより、少しは相手の考え、意見もおもしろいなと
感じ、融合して発展するケースが多くなりました。競って勝つより、
競わないで自分らしく生きる方がより戦略的では。
老中を豊かにしないと、おもしろい老後に出会えないと思っています。

マイカレンダー
6月16日(水)「商品開発プログラムのたて方セミナー」で6時間講義。
3ヶ月講座の最終日。拍手をもらい、ちょっと照れますが、うれしい。
セミナーが何かのヒントになって、ヒット商品が生まれてくれると良
いのですが。
終了後、コンサルティングをしている企業の人と打ち合わせ。
私の発信が混乱を招いていたようです。言葉足らずを反省。

17日(木) 痛風の発作がでて20日(日)までダウン。
7月は汗をかくので、痛風の季節だそうです。みなさんもお気を付けを。
21日(月) コンサルティングをしている、大阪の企業の方々と事務所で
ミーティング。その後市場探検。

23日(水) コンサルティングをしていた企業の担当マネージャーの方が
20日の日曜日に交通事故でなくなったとの知らせを受け、呆然。
18日(金) に、次回コンサルティングの打ち合わせをすることになっ
ていたのですが、私の痛風でキャンセルのためお会いできず。無念です。
お通夜に参列。日本オリエンテーションの優秀な卒業生ですと話しか
け焼香。合掌。

24日(木) 午前、健康開発企業訪問。製品の商品化の話。午後コンサ
ルティング。夜カウンセリング。20時までびっしり。
25日(金) M社の商品開発、研究の部長課長と会食。お酒をセーブし
ながら楽しみました。研究者の右脳的発想について意見交換。

26日(土)「土・日初回の映画を見に行く」一人行事。
「白いカラス」を見る。原題は「The Human Stain」。ユダヤ系と称
して、実は白い肌を持つ黒人の名門大学の教授(アンソニー・パーキ
ンス)。養父から性的虐待、ベトナム帰りの夫からの暴力、子供の事
故死を背負った雑役婦(ニコール・キッドマン)。社会が人生の傷を
生む。深い傷も、浅い傷もある、それらの傷から脱する大人の生き方。
今回の映画では、Last Loveが傷から脱するチャンスになったが、私
にはどんなチャンスが来るのか。
映画を見た後事務所へ。ITベンチャーの人と「人脈づくり」のネット
ワークについて意見交換。

27日(日) 日本陰陽科学会(会長 榊博文 慶應義塾大学文学部教授)
に参加。
きっかけは、常盤文克さんの「モノづくりのこころ」本の一行でした。
陰陽五行を考え、社会、仕事、生き方の哲学として、深めていくこと
が目的の会のようです。私も以前から、陰陽五行については強い興味
を持っていました。自然の摂理を、生きる知恵にすることの重要性を
感じていますが、私みたいな、俗と欲にまみれている人間には、自然
の摂理の本質を見ることは不可能であり、中国の古典の体系に学ぶこ
とが重要では。今回は「易経」の話でなかなかおもしろく、みなさん
積極的で意義ある会でした。
毎月1回、日曜日開催です。興味ある方は一緒に行きませんか。次回
は7月25日(日) 11時?14時。場所は慶応大学文学部会議室。

28日(月) 統合医療を推進している方と会うことになっていましたが、
急な患者がでてお会いできず、次回に。
29日(火) コンサルティング。コンセプト開発のためのターゲット開発。

夜「アフリカへ行こうよ」の第1回勉強会。
プロデューサーの、子ども研究所主任研究員 近藤さんから、アフリ
カの歴史、スワヒリ語、マサイの人たちの生活などの話を聞く。興味
がより深まります。次回勉強会も企画しています。10月1日夜出発で
す。興味ある方はご連絡ください。日程表など資料をお送りします。
問合せ MailTo:webmaster@jorien.com

30日(水) 健康テーマ開発のカウンセリング。
1日(木) 浜松へ。コンサルティング。商品コンセプトのブラッシュアッ
プと明確化。コンセプトのマーケティング展開。
帰りにスッポン料理屋へ勇んでいったのですが、空振り。スッポンが
名産なのに、料理はなぜおいしくないのでしょうか。惜しまれます。
2日(金) 商品を発売したが、売れ行きがいまいちで悩んでいる企業の
相談。文具の見本市へ行く。
3日(土) 事務所。切り抜きのメモづくり。
6日(火) 新潟村上市の村上大祭を見に行く。

7月27日(火)から始まる第81回「商品開発プログラムのたて方」セミ
ナーのテキスト改訂版をつくらなければ。
            日本オリエンテーション 主宰 松本勝英
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■『消費者が求める信頼』
★解  説
  技術の信頼性と、信頼性を保証する人間が信用できる人間かど
 うかの判断=意図に対する信頼、を混同することで混乱が生まれる。
 三菱が失った「信頼」の中身。欠陥を隠すことで三菱が守ろうと
 したのは、彼らの技術の信頼に対する消費者のイメージ。
 そして彼らが失ったのは、彼らの意図の善良さに対する消費者の
 信頼である。
 技術に対する信頼と、意図に対する信頼とを混同することで、彼
 らが見失っていたのは、失われた信頼の回復可能性についての違
 いである。
 意図に対する信頼性はなくすのは簡単だが、一度失われた信頼を
 回復することはきわめて困難である。
 これに対し、技術の信頼性についてのイメージは、意図に対する
 信頼が失われていない限り回復可能である。意図に対する信頼が
 失われていない限り、信頼を示す証拠を提出し続ければ、いつか
 はその証拠が受け入れられるだろう。
 技術の信頼に対するイメージを守るために、意図に対する信頼を
 おかすのは、欠陥を隠し仰せる可能性が極めて高くない限り、ど
 う考えても割に合わない。
   山岸俊男 北海道大学教授社会心理学 読売新聞2004.6.18

★ミネラル
  信頼とは、意図にたいする信頼です。いくら信頼のデータを出
 されてもデータを出した人、機関が信頼できなければ信頼は生ま
 れません。信頼の大本が崩れているような気がします。
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■『マヤの自然観』
★解  説
  マヤの自然観は、日本と同じアニミズム的自然観。生きとし生
 けるものや山河風水はもとより賢さ、戦い、運命といった抽象観
 念に至るまでのそれぞれに「精」があるとする。動植物、山や水、
 さらには運命、学問、戦いなどに多様な「カミ」が存在する。
 「気」にあたる言葉を多用する。マヤ系のキチェ語では「気」の
 ことを「Kux(クシュ)」という。
 「ki(たくさん)kux」元気、活気。「Kaba(そこそこ)Kux」落
 ち着いた気分。「Malin(悪い)Kux」病気、悲しみ弱気、落胆。
                  出所不明 2003.4.9
 
★ミネラル
  「生かされる時代」と「いきる時代」の違いでは。人間らしく
 「いきる時代」は、「精」「気」という概念が重要になってくる
 のでは。今は「生かされている時代」では。もう一度主体的に生
 きるを考えてみなければ。
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■『顧客モデルは実在の人物。日産、新車開発に新手法』
★解  説
  北米で発売した上級スポーツ・ユーティリティー・ビークル
 「FX45」の開発ターゲット。
 米カリフォルニア州に住む35歳の男性、スティーブ氏をモデル顧
 客とした。
 8000人近いターゲット候補の中から絞り込んだ。スティーブ氏は
 情報技術系企業で成功し年収は12万5千ドル。自己主張がはっきり
 した性格で、スキーが趣味。結婚して小学生の子どもが1人おり、
 家族との時間も大切にしている。
 その結果デザインは攻撃的な雰囲気で、大型のタイヤを車両の四
 隅に配して安定感を高め、高い動力性能を持った車になった。
               日経新聞系の新聞 掲載日時不明

★ミネラル
  商品コンセプト開発のためのターゲット開発と、マーケット開
 発のターゲットとは異なります。コンセプト開発のためのターゲ
 ットは、具体的にイキイキと描けないと、どんなベネフィットを
 期待しているのかが見えてきません。30代エンジニアでは、どん
 な車を作ったらいいのかは明確になりません。
 詳細なターゲット・プロフィールを開発することが重要。
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■『グローカル』
★解  説
  ドイツ車は強固、イタリア車は感情的、フランス車は創造的。
 日本車は高い製造技術を体現し、保守的な一方で驚くほどモダン。
 伝統的な車も、新しい概念の車も売れる。デザイナー泣かせだね。
      オリビエ・ブーレン三菱自動車 乗用車デザイン本部長
                    朝日新聞 2003.2.7

★ミネラル
  グローバル化のなかでのグローカルの重要性です。これからの
 文化的価値の競争では。アニメに代表される「クール」な日本文
 化を価値として高めることが出来るのか、少し心配。日本の文化
 価値を掘り下げて再発見・再構築することが大切では。
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■『もののあわれ』
★解  説
  日本人の新しもの好き、変化好みは「もののあわれ」が関係し
 ている。
 「自然・人事に即しての無常感」この無常感に「変化を積極的に
 受容する」姿勢を読みとる。(ドナルドリーチ)
 日本人にとって、物事が移ろいゆくのは、自然の道理で善きこと
 である。だから絶えず消えゆくものに変わり、新しいものが生ま
 れることは前進と見なされる。
 あきらめが新しいものを生み出す原動力になるのだ。
      「モードの方程式」中野香織 日経新聞2003.3.20

★ミネラル
  なるほど日本人が変化を好むのは「もののあわれ」なんだ。変
 化は善であり、前進なのだ。しなやかに変化に対応する感性が大
 事になるのでは。変化だ変化だと言って驚かない、そんな感性が
 必要な時代では。


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 ■□■ 「MATSUMOTO・MINERAL」
 ■■■ 第115号 (2004/7/6) (c) 1999 Japan Orientation
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