1970年から、新商品開発・マーケティングの人材育成のセミナー・コンサルティングと新商品開発戦略、新商品開発システム革新の仕事を続けています。

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考えるヒント:メルマガ「マツモトミネラル」

マツモトミネラル第235号

配信日:2009年05月11日

第235号
『流行「感染爆発」の時代』『直感の仕組み 棋士と解明』『「人間圏」の発想で』『疲れの正体』『科学者の課題は何ですか』

5月5日(火)祭日のため1週遅れのマツモト・ミネラルです。

利己主義のマーケティングから、利他主義のマーケティングに変わらないと。

■『流行「感染爆発」の時代』
★気づき
 流行を拡大させていくのは誰か。07年5月、米国コロンビア大学のダンカン・J・ワッツ教授は「社会的伝染は、他者から影響されやすいタイプの人たちが、相互に影響し合うことによる連鎖反応で起こる」という説を発表した。
 インターネットは05年ごろを境に「情動のコミュニケーション」になったという言い方もされる。吸収しきれない膨大な事実情報より、ブログや動画サイトなどで「気分や感情」を交換し、空気を読むという感情情報が中心の時代に移ったというのだ。そうであれば、影響しあいつつ、「自分探し」ならぬ、他人との「共通性探し」をする層の動きが爆発のカギなのかもしれない。
朝日新聞2008.?.5

★コメント
 情動を刺激するコミュニケーション。面白いし、怖い。「ちょっと待てよ」がこれからの情報の受け手にとって重要では。
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■『直感の仕組み 棋士と解明』
★気づき
 いまどのような行動を取るべきか―。人が答えを直感に頼る場面は多い。ただ、その仕組みは「ほとんどわからない」と脳科学者は口をそろえる。
 豊富な経験に裏付けされたプロの直感と、素人の当てずっぽうは違うはずだが、科学研究となると両者の線引きすら難しいのが現状。
プロ棋士の脳を調べれば、直感のしくみが分かるかもしれない―。理化学研究所と日本将棋連盟が8月共同研究プロジェクトを発足。
 直感が働くときの脳の活動場所はどこか。3つの候補が挙がっている。1つは小脳。もう1つは大脳の上部の頭頂連合野。そして大脳の中央部、大脳基底核だ。
頭頂連合野は空間的な情報処理を担うとされ、通い慣れた帰路を運転するときなどに働くといわれる。大脳基底核は、歩き始めるときや立ち止まるとき、特に意識しなくても足や手の動きをうまく制御するのに働くことがわかってきた。
日経新聞2007.10.14

★コメント
 直観の脳の部位が分かって、その後はどうするのか。意識してその部位を動かすことができるのか。外部から刺激を受けて直感を働かすのか。内発的直観が人間的では。
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■『「人間圏」の発想で』
★気づき
 一般に「世界」といわれるような概念を、私自身は外から見ている。つまり、地球という星をシステムとしてとらえ、その構成要素(ユニット)やユニット間の関係性に着目するのだ。現生人類は、地球システムの中に新しいユニットをつくった。それを私は「人間圏」と称している。
宇宙の歴史を考えると、ビッグバン状態から冷える過程で、銀河や恒星、生命などの構造が生まれてきた。その特徴は分化にある。人間圏も同じで、構造は重層的に分化してきた。一方、グローバル化は分化・冷却化に逆行する動きで、人間圏の歴史にはない。人間圏が加熱され究極の構成要素まで分解される点にその本質があるように見える。
東京大学 地球惑星物理学 松井孝典教授 2007.4.30

★コメント
 分化と統合。統合化のムーブメントを感じます。
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■『疲れの正体』
★気づき
 「疲労を生じたり感じたりするのは脳の特定の神経回路が強く関わっている」
乳酸や脳内物質のセロトニンが疲労の原因という説は否定論が多い。
「筋肉運動によって乳酸が増えるのは事実ですが、これが細胞を傷つけるという悪玉説は実験に問題があった。乳酸の増加と疲労度の相関は明確ではない。最近は逆に、脳や筋肉細胞を疲労から早く回復させる重要なエネルギー源であることがわかってきた」
「神経細胞間で働くセロトニンの過剰説も疑わしい。実験では増加は見られず、疲れるとむしろ減る傾向がある」
「末梢組織から脳に信号を送り、脳内で疲労感を伝える物質の働きが疲労の本質といえる。その過程は免疫系や内分泌系もからんでいて、脳にこれらの働きを制御する『疲労回路』がある」
「疲労感を解除する『リセット因子』があり、これがうまく働かないと慢性疲労になると考えられる。ビタミンCやB1、補酵素のコエンザイムQ10、アミノ酸、クエン酸などは有力な抗疲労物質。それらの何かが足りないと疲労が起きるので、不足物質を補えばよい。5種類ほどの抗疲労物質を混ぜたカクテル剤を作れば、9割程度の人に効くはずだ」
大阪市立大学大学院医学研究科 システム神経科学 渡辺恭良教授
日経新聞2007.9.18

★コメント
 疲労は生理的なものではなく、脳の中に起きること。よくわかる感じがします。
「5種類ほどの抗疲労物質を混ぜたカクテル剤を作れば、9割程度の人に効くはずだ」
については専門ではないので判断しかねますが、ほんとかなという感じがします。
そんな簡単に疲労は解決するのか?
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■『科学者の課題は何ですか』
★気づき
 科学認識に関しては、カール・ポパーの考えが今でも参考になると思う。彼は、有限な事例から普遍的な命題をいかにして導き出すかを次のように説明した。
普遍的な命題をまず仮説として立てて、それに対する反証が出てこない限りで、暫定的に真理であるとみなす。
 科学認識は根本的に仮説である。ここで重要なのは、普遍的命題が「未来」という時間性を入れないと成立しない、ということです。普遍的命題はいわば「未来の他者」を前提とする。ゆえに、倫理の問題だけでなく、自然科学の認識に関しても、われわれは今ここにいる相手ではなく、意義を申し立てるかもしれない「未来の他者」を念頭に置いておかなければならない。今生きている、われわれの合意だけで判断することは許されない。
柄谷行人氏  朝日新聞2008.4.7

★コメント
 科学もすべては主観である。主観に矛盾が生じない限りそれは客観になる。
未来の他者を念頭に置き主観を立てる。客観などない主観が客観的になるだけでは。

                     日本オリエンテーション主宰 松本勝英

【マイカレンダー】2009年4月21日(火)〜5月8日(金)
21日(火)コンサルティング。商品開発テーマ市場の定義と市場分析。
22日(水)社内教育。参加者の気づきをもとに変化のキーワード作り。なかなか面白いキーワードが生まれてきました。夜、大塚「こなから」で健康マーケティングの話。

23日(木)24日(金)第101回「商品開発プログラムのたて方36時間」セミナーのスタート。38人の参加者。レクチャーと双方向のディスカスを入れて。
23日夜は、恒例の「マーケティングだべる会」農業のマーケティング。消費と生産の一体化など面白い話に。
25日(土)企業の人の自宅で、恒例の竹の子掘りへ。雨なので竹の子掘りは中止。飲み会になってしまいました。

26日(日)から5月3日(日)ベトナム一人旅へ。
26日(日)27日(月)、28日(火)ホーチミンで企業の人たちと快食。香辛料の利いた食を堪能、ベトナム市場についても少し理解が深まる。
夜は、ベトナムのバーで、ベトナム人と指相撲、じゃんけんなどをして遊ぶ。
28日午後、ベトナムの避暑地ダラットへ。国内線での子供の多さにびっくり。発展している国だと感じる。ダラットではフランス時代の機関車に乗ったり、旧フランス人の別荘、ダラット市場(すっぽん、ウナギ、ドジョウなどもあり興味津々)を見たり。19人しかいない日本人の一人から声をかけられ、彼(64歳)の家を訪問。若いベトナム人の奥さん(34歳)と仲良し家族でした。
30日、ハノイへ。ホテルで日本人の若者と会い、食事へ。若い人の悩みをベトナム料理を食べ、ハノイで話をするちょっと変な快食でした。旧市街地、繁華街、ベトナム料理を探検。いろいろな人、食と出会いました。今回で4回目なのでリラックス&リフレッシュでした。

5月7日(木)30年からの友人が来社。6日NHKで放映された35歳の人の20年後の話。午後、共感している研究者の方が来社。快適とか嗜好とか情感とかのテーマの研究会をしようとの話し合い。神保町「上海朝市」で快食。
5月8日(金)3社の企業の方々が来社。マーケティングいろいろ話。

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■□■「MATSUMOTO・MINERAL」
■■■ 第235号(2009/5/11) (c) 1999Japan Orientation
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